ロック高校の落第生
ちびまるフォイ
私立ロック高等学校のヒミツ!
私立69高等学校に進学が決まった。
この町では成績優秀な生徒が集まると噂の学校で、
それなのに入学の敷居は低いという新説設計。
「よし、ここで一気に頭を良くして、いい大学に進学するぞ!」
入学式が始まると、体育館の床が抜けたところでこの学校が普通じゃないことがわかった。
「ハッハー! 新入生の諸君! 我がロック高校へ進学おめでとう!!
これからの学園生活はロックで、ロックで、ロックな毎日するぜーー!!」
「何だこのノリ!?」
モヒカンの校長先生にツッコミを入れられるのは俺だけで、
周りの生徒はみなこの状況にすっかり慣れているみたいだった。
パンクな入学式が終わり、教室に入って自己紹介と思いきや
担任の先生はあいさつ代わりに修学旅行を提案した。
「みんなの仲を深めるのは修学旅行だぜ! Fooooo!!!
授業なんてすっ飛ばしていっちゃいなYO!!」
「ええええ!?」
ロック過ぎる。
ロック過ぎて常人にはとても理解が追い付かない。
入学式が終わった翌日に修学旅行に行くロック過ぎる学校。
俺はとんでもない学校へと進学してしまった気がする。
修学旅行から帰ってくると待っていたのは学内試験だった。
修学旅行にいっていたので勉強ができるはずもなく、
学内テストは自分の人生史上もっとも悪い点数を記録した。
「というか、テストで習っていない場所出てたし……いい点取れるわけないよ」
ぶつぶつ言いながら成績発表の掲示板へ向かうと。
学校の生徒ほとんどが満点に近い点数をたたき出していた。
「なっ……そんな馬鹿な……!?」
テストで悪い点を取ったのは俺だけだった。
その次のテストも、その次の学内テストも同じように、みんな良い点数を取っていた。
「ちくしょーー! なんで俺だけ点数取れないんだ!」
考えられることは1つ。
みんなロックだなんだと騒いでいるが、実際は隠れてしっかり勉強してるんだ。
俺は負けたくない一心で勉強に励んだ。
そして、ついにやって来た学内テスト。
「俺の本気の実力、見せてやるぜ!!」
・
・
・
惨敗だった。
「なんでだちくしょおおお!!」
たしかにテストの点数は上がったものの、それでもほかの人はほぼ満点に近い。
いったいいつ勉強しているんだ。
1時間目:ロック
2時間目:ロック
3時間目:ロック
4時間目:ロック というふざけたカリキュラムなのに!
「……いや待てよ。俺はとんでもない思い違いをしていたのでは!?」
俺はロックに馴染めていなかった。
学校の授業はどこか心ここにあらずで受けていて、家に帰ってから必死に勉強していた。
それじゃダメなんだ。
「ロックに行きてストレスを発散することで、みんなしっかり勉強できているに違いない!!」
俺だけ学内テスト点数が低いのはそのせいだ。
へそにピアスを入れて、ドレッドヘアーに切り替えて、ロックに生きることを決めた。
「イェァァァァァ!! ロックだぜぇぇぇ!!」
ヘドバンしながら登校するロックな人間に生まれ変わった。
そして、学外で受験が行われた。
「よし、ここ数日でめっちゃロックしていたからな!!
今度こそ俺は誰よりもいい点数を取れるはずだ!! YO!!」
俺たちロック高校の受験生はほかの受験生より異彩を放っていた。
しかし、学内テストでほぼ満点だから負けっこない!!
結果が掲示板に出ると、俺は意気揚々と向かった。
そして結果は……。
1000000位
「うおおおおおおい!!」
全然ダメだった。
テストの点数はロック極まりないものだった。
「なんでだ……勉強してもダメ……ロックしてもダメ……。
いったいうちの学校の奴らはどうやって良い点取ってたんだ……」
落ち込んでいる俺に、同級生がそっと手を差し伸べた。
「テストの点数なんて気にするなよ。誰でも最初はそんなもんだ」
「最初……?」
「ロックばかりやって24回も留年していればテストの傾向も読めてくるよ。
みんな留年してテストを覚えているんだ。最初なんて点数が低くて当り前さ」
俺は自分以外の同級生がやけに点数がいい理由がわかった。
今度からは同級生に敬語を使いたいと思う。
ロック高校の落第生 ちびまるフォイ @firestorage
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます