最新型猫探偵登場『猫には推理がよく似合う』深木章子 著
『猫には推理がよく似合う』プレビュー
「
「えっ? このパターンは?」
「今日、私が永城さんにおすすめするミステリは、これ!
「まさかの猫三連発?」
~あらすじ~
弁護士ひとり、事務員ひとりの小さな弁護士事務所、
「これも猫が探偵役なんですね?」
「そうですよ、最新型猫探偵です」
「あらすじを聞いたところだと、この猫探偵は人間と会話が可能なんですね? 確かに、主人公だけとはいえ、人間との会話が成立するとは、猫探偵も随分と進化を遂げましたね。でも、猫が喋るまでになっちゃって、本格ミステリとしては大丈夫なんですか? それこそ、化け猫なんじゃあ……」
「大丈夫です。猫が喋る、喋らないは問題じゃないんです」
そこは問題なのでは? 疑問が湧いたが僕がそれを口にする前に、谷藤さんが、
「面白い本なので、ぜひ読んでみて下さい。お買い上げいただけますか?」
「は、はい」
そう答えるしかない。谷藤さんは即座にレジカウンターの向こうに入り、レジを打って本にカバーを掛け始める。
「何だか、今日の谷藤さん変ですよ。いつもなら本の内容について、これでもかと語ってくるのに」
「うふふ。この本はですね、あまり事前に情報を耳に入れてほしくないんです。ですから……はい、どうぞ」
僕は代金を払って、いつものように職人技レベルに綺麗にカバーが掛けられた本を受け取った。
「それでは、読み終えたら感想を聞かせて下さいねー」
そして、追い立てられるように谷藤屋をあとにしたのだった。
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