　昨日までシャッターの下りていた建物が

　今日更地になりました

　重機たちがものすごい勢いで

　あっと言う間に何もなくなってしまいました

　何もなくなった昔何かだったその場所は

　周りの建物に囲まれて

　まるでそこだけ別の時間を生きているようでした

　この場所にあった学生時代の少し甘酸っぱい思い出も

　この場所にあった夕日に滲む柔らかい光景も

　初めから何もなかったみたいな風景です

　あれからどれくらい経ったでしょう

　いつしかあの場所にまた何か建ち始めます

　少しずつ少しずつ産まれていく建物

　人々は期待の目でそれを眺めます

　その前の更地の風景を忘れて

　さらにその前の別の建物の事を忘れて

　今度出来るの何だろな

　かわいい小物屋さんかな

　小奇麗なブティックかな

　オシャレなレストランかな

　それとも大手チェーンのバーガーショップかも

　工事は少しずつ進みます

　前を通るたびに気になって

　今度は長続きする事を願って

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい