夏の虫

 電信柱に寄生する点灯虫がねぼけまなこで

 ほら お日様真っ赤に空を燃やしてる

 もやしっ子たち忘れ物を忘れて帰ってる


 ずっとずっと遠くを眺めているよ

 あの子はいつも一人で帰っているよ

 お日様はもう海にとけてしまったよ


 悲しい笛のうたが似合います

 誰にも出会わない山道で

 ふと横切った黒い影


 ひとりでに伸びていく影に追い越されそうで

 ずっとずっとひとり言で遊んでる

 今日の給食の味を思い出している


 ころころ転がるこの星の

 正しい明日はどこにある

 やさしい声に近付けば

 もう明日の夢は見られない


 何だか訳のわからない歌を作っては

 ほいほいほほーいリサイタル

 影の中 クロネコこっそり聞いていた


 やがて点灯虫イキイキと輝いて

 スポットライトに集まる夏の虫

 自転車こいで今日の残りを探しに行こう

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