戻る世界

 人 朽ちて土に還る

 物 朽ちて土に還る

 心 朽ちて空に還る


 何処までだって果てる事のない青空

 いつもいつでも見上げてしまうのは

 きっとそこがたましひの故郷だから


 放置された建物が崩れていく

 雨風に削られて元に戻っていく

 力を失って大きな力に飲まれていく


 放置された田畑

 いつの間にか雑草に埋め尽くされて

 何百年前かの景色に戻ってく


 大いなる何かから枝分かれして目覚めた僕らは

 やがて全てを終えてまた元の何かに溶けていく

 そしてその証はただ忘れられていく

 いくら人を増やして延命を図ろうと

 一億年先に広がる景色に僕らの墓石は無意味だろう


 永遠なんて有り得ないオキテ

 もし実在するならそれは空の青さ

 葉っぱたちが求めてやまないもの

 

 この先オゾンの穴が広がって地上を追われたとしても

 この青の世界だけはずっと語り継がれるのだろう

 そこには誰もが求める全ての答えが眠っている


 いつか空と大地に全てが還る頃

 僕らの成れの果てはどんな気分で空を見上げるのだろう

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