能無し





映画も終わってしまい、友達になった美香は夜からバイトがあるとかで帰ってしまった。だけどLINEも教えてもらったし、学部も一緒で前から私のことを知っていたらしい。それで今日私が来ることを優希から教えてもらって来てくれたみたいだ。

美香は話しやすくてなんだか落ち着く。芯が強いって所が紗希と似ているような気もした。


優希も帰ったのかな、結局謝れなかったなんて考えていると後ろから声がする。

「あ~要ぇ」

あ、このチャラいのは田沼...さんだ。

「どうも...」

「だからぁ、タメ口でいいって言ったじゃあん」

ていうか距離近すぎ、香水臭い。

「でさあ、要これから暇?」

「は、はぁ」

「じゃあさぁ、俺と飯行かね?」

「でも...」

優希に謝らなきゃいけないのに...。

「あ、もしかして彼氏いるとか?」

「いや...彼氏じゃなくて」

「優希でしょ」

図星すぎて固まってしまった。


「要は付き合ってるつもりでも優希は遊びにしか思ってないんじゃん?」

付き合ってるとは言ってないだろ。

「...だから」

「それにさぁ、あいつ女なら誰にも優しくするぜ?でもあんな顔とセックスしか能のないヤツといてもさぁ...」


「...優希はそんなんじゃない!」

やましいことしか考えてないのはお前じゃないか。

「要、哀しい思いする前に俺が慰めてやろうか?」


肩に触れられ寒気がする。




「おい...!」








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