Aphrodita

@maaaaple

伊藤 紗希



はじめまして、私は美容系の専門学校に通っている伊藤紗希です。

今、幼稚園からの親友の要ちゃんと映画の約束をしているから急いで支度しています。私が支度を終えるまで要ちゃんとの昔話でもしちゃおっかな。

幼稚園の時、男の子からよくからかわれていたの、小さい時の私は泣き虫だったからそれが嫌で男の子は嫌いだったんだけど、いつもみたいに意地悪されていたら最近引っ越して来た子がからかっていた男の子達を怒ってくれたの、そう、その子が要ちゃん。

要ちゃんと私の家は近所だったから弟の優希とよく3人で高校ぐらいまで遊んでたな。高校卒業してからは要ちゃんは大学に行っちゃって、それに一人暮らしを始めちゃったから今は私の家と一駅くらい離れた所に住んでるから前みたいに毎日遊べるわけじゃなくなっちゃった。今日は1週間ぶりに要ちゃんと遊べるから楽しみ。


待ち合わせ場所の映画館に着くと長い綺麗な黒髪の子、これが要ちゃんだよ。

「紗希...、走ってきた?髪の毛」

そう言いながら要ちゃんは私の髪を手櫛で直すように撫でてくれる。

「ったく...ほら行くよ」

口はかなり悪いけど要ちゃんは優しい。

確かはじめて喋った時も

「何泣いてんの!嫌だったら言い返しなよ!」

って意地悪されていつまでも泣いてる私を怒ってたなぁ。泣き虫だったんだけど何でか要ちゃんの言葉は優しい気がしてとても心地よかったんだ。それがだんだんと大きくなって、私が少し大人になってからその気持ちは濃くなって、気付いちゃった。

私は要ちゃんが好きだ、友達としても、1人の女の子としても。でも最近、それは気が付かなきゃ良かったなんて思い始めています。

隣で要ちゃんが今私に話しかけていて私も相槌を打っているんだけど要ちゃんが好きな人って気がついてからは要ちゃんといて楽しいって気持ちよりも寂しいっていう方が強くなってる。要ちゃんは小さい頃から私に対する気持ちは多分変わらない、要ちゃんは私のことを親友として見ている、嬉しいはずなのに寂しい。







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