子供達の日記
@tsukayama-kana
一人目 「廃校」
昨日から降っていた雨はやんだが、校庭はすこしぬかるんでいた。木島祐一は一人思い出に浸りながら校舎へと進む。この景色も見納めと思うと無意識に、あの事件を考えてしまう。
「私たちの小学校が今年取り壊しになるから、今度見に行かない?積もる話もあるでしょ?(笑)」
そんなメールが来てから祐一はむかしのことを思い出してセンチメンタルな日が多くなった。そもそも祐一の人生の中で小学校は一番刺激的で、悲しいものだったからだ。メールの送り主と一緒に学校を見に行くのは気が引けて、祐一は今朝地元に一人で行くことを決めた。もう通っていたのが20年も前になる校舎の中に入る。
廊下は少し朽ちていたが(由緒ある木造校舎だったため)少しも変わらず祐一を出迎えた。先ず少し歩いてつきあたりにある図書室に入りたかった。それはかつての祐一の教室以外の唯一、居心地のよい居場所だった。
きしむドアを開けたら中はホコリ臭い匂いがたちこめていた。本は殆ど何処かに寄付されたとかで残っていなかったが、長机と本棚はそのまんまだったから祐一の心は、はねた。
ーまだ残っているだろうか。あのメッセージは。
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