冴えないゾンビの従魔生活 ~俺の甲冑は砕けない~
桐生デンジ
第一章 はじまり
第1話 パーティに見捨てられた!
「気を引き締めて行くぞ!今日の依頼はこの貴石洞窟内の探索と鉱材集めだからな、多少の魔物はいるだろうけど大丈夫だろう。」
「「「了解」」」
「どうしたんだお前、浮かない顔しやがって…大丈夫さ、ピンチに追いやられたらオレが助けてやるって。オレたちはもう昨日からBランク冒険者なんだぞ?オレも皆も実力は格段に上がってる。自信持てって!」
「はぁー。分かりましたよ。さっさと終わらせちゃいましょう。」
いやぁだってさ、パーティ全体でBランクだって言っても、俺のランクで言えば全然じゃんか。リーダーにはついていけないよ…。
「その息だ!よし、じゃあ入るぞ」
~10分後~
「ヤッベ!死霊の群れだッ!囲まれる前に撤退だ!撤退しろ!」
え、ちょ、まっ、この袋めっちゃ重いんですけど…これ持って逃げんの無理無理!
「おい、何やってる!そんな袋捨てちまえ!さっさと走るんだ!」
えーでもそんなん勿体無いじゃないですか、せっかく集めたのに…
よっこらしょ、今行きます…って、
あ。
ハ、ハロー…ヤバいかも。ゾンビに囲まれた。
「ヤバいっす!囲まれました!助けてくださいッ!」
「……」
「ゑ…?」
待ってあいつら出口の方に向かってない?ああそうか、錯乱して俺がどこにいるのかわかってないんだな、きっとそうだ、教えなければ!
「俺はこっちですッ!助けてくれーッ!」
よし、リーダーが振り向いたぞ!ってあれ?何その悲しそうな表情?足の動く向き変わってないし!
「ごめーん!!!」
は?なによごめんて?謝罪なんて要求してないでしょうが!いいから早く助けにこいよ!
……無視って…嘘だろ…。あのクソ野郎…ピンチに追いやられたら助けるって言ったくせに!
と、いうことは…。
もしかして…。
俺、見捨てられた…?
俺の今の状況を整理しよう。
1.周り360度にぐるりとゾンビの群れ。
2.仲間に見捨てられた可能性大。
うん、相当やばいな。
フッ…しかし俺だって伊達に冒険者やってきたわけじゃあ、ないんだぜ…。パーティでの役割は剣士だったんだ、剣を振り回して振り切ってやるっ……て!
ピョーイ
あ…ああ…なんてこった!手が滑って剣投げちゃった…。なんでだよおおォ…うう…。
状況メモの追加だな。
3.剣を無くした。
4.詰んだ。
「あ…ああ…」
と、いうわけで。
うわあああ!ゾンビきてるうう!めっちゃきてるう!
やばいぜ、きっとこれは夢だろう、さめろーさめろー…
…さめろーさめろーさめないさめないさめないじゃん!
「あ…ああ…」
やばい、もう俺だめなんだな、完全に囲まれてる逃げらんねぇこの恐怖の中に死すんだな、
ああああああ!なんでこんな石ころの詰まった袋置いて逃げなかったのかな…。
「あ…ああ…」
思えばろくな人生じゃなかったな、年齢イコール彼女いない歴で童貞だしさ…。
もう目瞑っとくかな!
「あ…ああ…」
誰か助けてくれないかな…でももう遅いよな…。
きっと俺は皆から嫌われてたんだな、だから俺はいつもカレー作って食べるとき皆よりよそわれる肉が少なかったんだな。
だから今度も見捨てられたんだな。
なんでだろうな。剣術の腕が足りなかったからかな。
パーティ女性陣のおパンティをモソモソしてクンカクンカしてたからかな…リーダーが全てにおいて俺に勝っていたからかな…。
俺はいつも陰で目立たなかったもんなぁ…。
「あ…ああ…」
いつ殺されるんだろうなあ…今かなー…今かなー?
「あ…ああ…」
そろそろかなー…。
「あ…ああ…」
って、ゾンビども進軍おせーなオイ!なんだよこいつら人に絶大な恐怖を与えときながらタラタラ向かってきやがって!
他人様を待たせちゃいけないって教わらなかったの!?よく見たらさっきんとこから1mも近づいてねーじゃん!
こっちはもう逃げらんねーんだよちくしょー!
お前らが包囲してるからなんだぞ!?責任取ってひとおもいに殺せや!
1分くらい前の俺も何やってんだよ、剣投げちまいやがって、落ち着いて対処すれば乗り切れたかもしれねーのによ、もう俺は今恐怖を通り越して冷静だからな!
閻魔大王でもなんでもドントコイだぜ!
う、うわっ、急に早く動き始めやがった!言葉通じんのかよ!?
ブスリ
ふぇああ…ゾンビ君そんないきなり刺すなよ…なんだこいつ…よく見たら甲冑着てる…アーマードか…。
急にスピードアップなんてらめええ…。
力が抜ける…あぁ死にたくない、死にたくない、死にたくないよぉ………。
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