第22話 ー千客万来の章14- 皆の幸せ
幾度かの口吸いのあと、二人は、着物をお互いに脱がし始めた。
「あんましきれいな身体じゃなくてごめんよ」
小春は青あざを隠すように手で、自分の身体を撫でる。そんなことはねえよと、
「俺だって、刀や槍による傷だらけの身体だ。お互いさまじゃねえか」
「あんたのは名誉の傷さ。誇りに思うべき傷だ」
お互いの顔がまた近づき、お互いの唇をついばむように、口吸いを行う。
「やめておくれよ。傷にさわるのは」
「俺はこの傷が好きだぜ。運命に抗った傷だ」
小春は、うと、んを口にする。小春の吐息が熱のこもったものに変わっていく。もう1度、
明けて、9月21日 今日は
「拙者、やっと彼女ができたでもうす!」
「料理が趣味の彼女ができたでもうす!」
「一人称が僕の彼女ができたでもうす!」
「僕とおしゃべりしてくれる彼女ができたでもうす!」
「ん…。あいつら、彼女ができたのか、よかったよかった」
「運命のひとは、かならずいるんだよ、わかった?なっちゃん!」
「ん…。俺も梅ちゃんと結ばれた。運命の人だ」
「そうだよ、なっちゃん!時間かかったけど、運命の人にきづけたね、えらいえらい!」
「もう最終日すか。
「
こちらは、
「
「腕によりをかけて、おいしいものを作ってあげたいと思います!幸せ太りさせてあげたいと思います!」
千代と
「本当なら、午後からの合同結婚式は、白無垢姿で出席したかったのでーす」
「そこは、後日、正式な挙式を行うんで我慢してください。千代殿」
千代は思う。まさか、こんな強引ぐマイウェイの私に、彼氏ができるなんておもっていなかった。そのため、花嫁衣裳なんて準備しているわけがない。少し頼りないところがあるけど、そこは私が引っ張っていけばいいかと思うのでーす。
「どうかしました?千代殿」
「ん、なんでもないのでーす。ただ、幸せだなーと思っていたのでーす」
正午になり、会場に
「やれやれ、なんとか間に合ったか。つい寝坊しちまったからなあ」
「あ、あんたが、がっつくからでしょ!」
「そうは言ってもよ。小春がきれいだったからよお」
「ば、馬鹿。こんなところで何言ってんだい!」
小春は耳まで赤くする。
「あ、あんたはさ。い、いつから、わたしのことを気にいってたんだい?」
「気にいる、気にいらないって話なら、出会った最初から、気にはいってたさ」
「へっへ?そ、そうなの?でも、あたし、あんたにひどいことばっかり言ってたよ?」
「お前のこと、好きだって気付いたのはもうちょっとあとだったけどなあ」
「ふ、ふーん、そうなんだ。そうなんだ、えへへっ」
でも、幸せを運んできてくれた、運命の王子さまには変わらない。わたしは彼の側で精一杯、幸せになっていこう、そう小春は心に誓ったのだった。
舞台の壇上には、司会の木下秀吉、総括の
「あ、あの。では、これから、こ、今、
秀吉が一歩さがり、
「うっほん!このたび、めでたく良縁を組まれた方々、まずは、おめでとうなのじゃ!この式のあとには、
「では、式を始めるのじゃ!まずは、織田信長さまより、お言葉を頂戴するのじゃ」
「みんな、楽しめたかな?素敵な彼氏や彼女はできたかい?」
会場の皆は、おおおの叫び声や、ありがとう信長さまーや、俺にも彼女ができたと言った声を上げる
「今回、できなかった人もあきらめずに婚姻活動を続けてほしいと思います」
絶対、いいひと見つけてやるんさねぇ!と女性のたくましい声があがる
「男子諸君。きみたちは兵士だ。いつ命の危険に会うかはわからない。でもね、それと同時に、いつ素敵な出会いに会うかもわからなかったはずだよ。しっかり、女性たちを守るんだ」
おうよ、まかせとけーーー!と会場から声が飛ぶ。
「女子諸君。出会えた素敵な彼らをぜひ、支えてあげてほしい。時には尻を蹴飛ばし、戦う勇気を与えてやってほしい」
信長さま、まかせてけんろー!と聞こえてくる
「ワシも素敵な彼女に出会えました。彼女のためにも、もっとこの
信じてるぜ、信長さまー!だれかがそう叫ぶ
吉乃が信長よりさらに前に出て、叫ぶ
「織田家のみなさまあ!そして会場の女性の方がたあ!信長さまはあ!」
めいいっぱい叫ぶ
「すっごいことを実現しようとなさってます!この乱世を終わらせようとしています!」
はりさけんばかりに叫ぶ
「命を懸ける兵士の皆様がたあ!これから戦いはもっと激しくなっていくでしょう!それでも信長さまは平和のために戦います!」
声に想いを乗せて叫ぶ
「兵士の彼女さま方あ。あなた方の彼氏たちを信長さまが借り出すことをどうかご容赦ください!」
声に魂を乗せて叫ぶ
「でも、信長さまは決して後悔はさせません!乱世を終わらせるために、みなさん、力を貸してください!」
吉乃は皆に深々と頭を下げる。会場は、静けさから段々、騒々しいものに変わっていく。
男や女は、おおおと雄たけびを上げる。ずんずんと足を踏み鳴らす。その音はやがてリズムを作り出し、声は歌を奏でだす。
「我ら、織田家を支える一兵士なり」
「わたしたちは、一兵士を支える、おんななり」
「我ら一丸となりて、信長さまを支えるものなり」
「我ら一丸となりて、天下をおさめるものなり」
「我ら一丸となりて、ひのもとの国を平和に導くものなり」
おおおと、叫び声は続く。その声は大きく響き渡り、各国へ伝わっていく。各国から下級兵士や、それを支える女たちは、信長の
織田の
馬鹿と殿さまの狂詩曲(ラプソディ) ももち ちくわ @momochi-chikuwa
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