1/25 『街の異世界人が……』

☆★☆★


 風乗春太かぜのりしゅんた:ペット愛に溢れる少年。ムダにカッコつけたがる。犬か猫と結婚したい。あだ名は『シュンたん』。


 マキンリア:赤茶髪の快活な少女。元気いっぱい。食いしん坊。あだ名は『マッキー』。


 チーちゃん:チワワ。上半分は黒い体毛で下半分はベージュ色の体毛。勝ち気な女の子。


 プーミン:シンガプーラ。セピア色の短毛。甘えん坊の女の子。


 セリーナ:ボルゾイ。純白の体毛。頼れるお姉さん。


 セーネルの街:中世ヨーロッパ風の石造りの街。近辺に幾つかの狩場を抱え、そこで稼ごうとする冒険者で溢れている。狩りの帰りに冒険者達が飲食店を求めるので、街には飲食店がいっぱい。食べ歩きには困らない。


☆★☆★


 冒険から帰ってきた春太とマキンリアは今日も新たな食事処を開拓。

 賑わう店内で二人はテーブルに向かい合って座る。

 注文を済ませ、品物が運ばれてくるまでの時間はお喋りの時間となっていた。

「さあシュンたん、あたし達のトークショーの時間がやってきたよ」

 楽しそうに言うマキンリアに、春太はラジオ収録みたいだなと思った。

「ああ、今日もこの時がやってきたか」


「シュンたん、今日は初評価もらえてたよ!」

「おーやったね! これもチーちゃん達のおかげだな」

「あたしはあたしは?」

「今の段階だとマッキーにそんな出番なかったじゃん」

「……そうだった!」

「それよりも俺の名言の数々が効いたのかもよ?」



「今日は何を話そっか?」

「そうだなあ……マッキーは回転寿司って分かる?」

「銚子○とか?」

「ねえ意図的に伏せられない伏せ方したでしょ? ていうか何で知ってるの?」

「街の異世界人が教えてくれた」

「何でもそれで片付くから便利だなおい! まあいいや。とにかく、作者はたまーに贅沢として回転寿司に行くらしい」

「そうなんだ」

「今はタッチパネルがあるからいいけど、昔はそれが無かったから大変だったみたいだね。店員を呼ぼうとして『あの』と言い始めた瞬間に隣のテーブルから『すいませーん!』てデカイ声で打ち消されたり」

「そういう時は負けずにデカイ声出せばいいんだよ」

「それができたら文章書いてないんじゃねーの?」

「あ、そっか! 草食系なんだね」

「ねえ何でそんな言葉知ってるの?」

「街の異世界人が……」

「そればっかりだなおい! 誰だよそいつ、下手したら去年の流行語大賞まで知ってるくらい最近来ただろ」

「リュージ・タキガーミって言ってた」

「外人ぽく言ってるけどそれ作者じゃん!」

「こっちの世界とあっちの世界を行き来できるんだって。よく仕事中にこっちの世界に来るらしいよ」

「へー……ってかそれ、サボリじゃね? 怒られないの?」

「みんな気にしないんだって。『仕事が終われば帰っていいよ、終わればね』っていう業界だから」

「誰も周囲を気にする余裕すら無いのかよ。ハードだな」

「『勇者が必要なのは異世界じゃなくて、むしろ元の世界の方』って言ってた」

「KAROSIをやっつける勇者は現れるのだろうか……って、注文が来たね。今日はここまでにしようか」

「そだね、また明日!」


 二人のもとにまだジュージュー音を立てているステーキが運ばれてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る