第13話 日比野天地 彼の地にて、斯く戦えり
ざんねん!!
わたしのぼうけんはこれでおわってしまった!!
脳裏に不吉な辞世の句が流れる。
目の前のコブラソルジャーが、大鎌を持った死神にしか見えない。
待て待て、こういう時こそ落ち着いて考えろ。
俺が今取るべき行動……この死地から生還するための行動を。
と言っても、ない知恵をどれだけ絞っても、選択肢は三つしか出てこない。
①強行突破、倒してゴールイン
②倒すとかマジ無理、何とかすり抜けてゴールイン
③安全第一、後ろを向いてダッシュ
……うん、考えれば考えるほど絶望的だ。
まず、③は論外。
この辺りで、他にセーブクリスタルがある部屋はない。
マユと一緒に散々歩き回ったから確かだ。
ここ以外の最寄りとなると一時間はかかるが、そこへ着くまでに間違いなくジ・エンド。
となると、そこの蛇野郎をぶっ倒してから胸を張って凱旋するか、それとも気を逸らすなり隙を作るなりして穏便に通り抜けるか、という二択になる。
正直、どっちも厳しい。
コブラソルジャーは、俺が今まで出会った魔物の中でも上位に位置する強さだ。
今までって言ってもたかだか一週間だが、それでも俺には太刀打ちできないことに変わりはない。
田辺さんも「ここらで出ることはまずないけど、もし遭遇してしまったら要注意」と言っていた。
コイツの脅威は、多彩な攻撃と戦いづらさにある。
右手のハルバードから繰り出される強烈な斬撃だけでも厄介なのに、それに気を取られると、人間など丸飲みにできそうな大口が高速で飛んでくる。
さらには、視界の外からグネグネと変則的な動きをする尻尾が、足に絡みつく瞬間を虎視眈々と狙っている。
つまり、三点からの攻撃を常に警戒する必要があるのだ。
それなら防御面に付け入る隙があるはずだと思ったら、そうは問屋が卸さない。
間合いの広いハルバードと長いリーチに阻まれて近づくことすらできないし、よしんば間合いに入ったところで、独特の体さばきと左手のバックラーによって巧みに攻撃を防がれてしまう。
攻守ともに優れた強敵だ。
ゴブリンとの戦闘経験すらろくにない俺には、荷が重いどころの騒ぎじゃない。
五回死んでも倒せそうにない。
残る希望は……。
「サユ……一応聞くんだけど、魔法なしでアイツを倒せたりする? もしかしなくても、お前のレベルなら朝飯前なんじゃねえか?」
「む……む、む、むり……っ! ま、魔法……が、ないと、あた、あたし……絶対、絶対ムリ……!」
「……そうか……。わりぃな、分かった」
そのレベルでビビリ過ぎじゃないか? とは、これっぽっちも思わない。
確かに、レベルが高いと強い、圧倒的なまでに。
サユだって、さっきまで魔法を駆使して魔物をバンバン駆逐してたし、腕力や素早さにしたって俺より断然上のはずだ。
だが、ダンジョンではレベルが上がってもHPや防御力は全く変わらないのだ。
仮に、コブラソルジャーの禍々しい武器に貫かれたら……鋭い牙に噛み付かれたら……強靭な尾に締め付けられたら……。
サユは死ぬ。
レベル3の俺と同じように、あっけなく。
それだけ、ここでのレベルや強さってのは脆く、危ういものなのだ。
何より、サユは俺より年下の小さな女の子だ、恐くないわけがない。
魔法を使って遠くから安全に倒す……普段は楽観的だが、それがサユにできる精一杯なのだろう。
マユのように、無防備に無鉄砲に無計画に突っ込んでいけるのが異常だ。
「サユ……俺ができるだけ引き付けるから、隙を見て通り抜けろ」
「そんな……! ダメだよ、てんちにぃじゃ死んじゃうよっ!」
「うっ……言ってくれるなー、おい。大丈夫だ、武器だって持ってるし、無理はしねーよ」
「でも……でも……っ!」
「ここは俺に任せて先に行け! ……なんてな、ハハ、ハハハ……」
「全然笑えないよぉっ!」
強がって、カッコつけて、乾いた笑いを浮かべる俺。
そんな俺を心配そうに見つめるサユ。
我ながら何やってんだろうな、こんな自ら死に急ぐような真似して。
それでも、こうする他どうしようもねーだろ。
まさか、怯える少女を戦わせて自分は隅っこで応援ってわけにはいくまい。
もう俺にできることは、精々こうやって自分を無理矢理にでも奮い立たせることだけだ。
俺は覚悟を決めて、鉈をコブラソルジャーに突きつける。
やってやる……やってやる……っていうか、やるしかねえ……。
「よおおし……こ、こいっ蛇野郎! お、俺がブツ切りにしてやるよ!」
「シュルシュル……シャアアアアアアッ!」
ひえええええええええぇぇぇ!
こ、こわーっっ!
俺の中の勇気ポイントを大量消費して挑発したところ、見事に俺をロックオンした……まではいいが、コブラソルジャーの威嚇音によって膝はガクガク震えて、足がまるで言うことを聞かない。
蛇に睨まれた蛙のように、身がすくんで動けない。
ダメだ……戦う以前の問題じゃねえか、くっそ……!
「て、てんちにぃ! やっぱり、あたしも……」
「ま……ったく問題ねえよ、ノープロブレム。どう料理してやろうか考えてただけだ。倒す前と倒した後の二つの意味でな。でも、コイツは硬そうだよな~、毒もありそうだしさぁ、ハハ、ハ……ハハ……」
「ど、どう見ても、だいじょーぶじゃないよぉー……」
ええい、ビビってんじゃねえ!
ビジョンだ、勝てるビジョンを思い描け。
そうだ……そうだ……振り返れば、この一週間でコイツとは三回も出くわしてるけど、いとも簡単にマユが瞬殺してムシャムシャ食ってたじゃねえか。
そりゃもう、ゴブリンやコボルトと何ら変わらず、あっさりと殺ってうまそうにムシャムシャと。
あの時の動きだ……。
俺に同じ動きができるだなんて、おこがましいことは考えてない。
だが、マユになった気持ちで戦えばイケる気がする。
もう、何も恐くない……って気分になれる気がする。
自分がこの世で最強になったような、背中に羽が生えたように自由になったような、視界がぶわっと広がったような、そんな気がする。
所詮は小賢しい自己暗示に過ぎないが、今の俺にはこれ以上ない心強さだ。
「シャアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「てんちにぃ!」
ひとしきり睨み終えたコブラソルジャーが滑るように近づき、命を狩りにくる。
俺は、一番の脅威である長大なハルバードの矛先に向かって、思いっきり鉈を叩きつけた。
耳の奥までつんざく金属音とともに、両腕が根元までビリビリと痺れる。
互いの武器が衝撃に耐えかねて大きく弾かれた。
が、コブラソルジャーはすぐに武器を構え直すと、俺より早く連続の突きを見舞ってきた。
刃渡り六十センチ足らずの鉈を両手持ちしている俺より、重量のあるハルバードを片手で扱うコブラソルジャーの方が、攻撃の速さも鋭さも一段上ってどういうこった。
レベル3になって調子に乗ってたが、まだ腕力では向こうに軍配が上がるようだ。
……つーか、俺が勝ってる項目が一つでもあったら誰か教えてください、マジお願いします。
「あ、足、足っ! 気をつけてっ!」
「!? う、ぉわあっ!」
絶え間なく繰り出される突きを何とか躱すことに集中していたら、いつの間にかコブラソルジャーの尾が俺の足元まで忍び寄っていた。
俺は慌てて後方へ飛び退いて回避する。
あ……っぶねぇぇぇぇぇ!
気をつけていたつもりだったが、言うは易し行うは難し。
てか、無理だろこれ。
っくそ、守りに専念してもジリ貧どころか寿命が秒単位で増えれば御の字じゃねえか。
こうなったら、イチかバチかの特攻を仕掛けるしかない……。
マユが倒した時の記憶を辿ると、コイツはかなりしぶとい奴で、手をぶった切ったり胴体を真っ二つにしたりって程度じゃ死なず、怯むことなく攻撃してきた。
……首だ。
蛇の首がどっからどこまでなのか定かじゃないが、とにかく首を刎ねたら即死していたはずだ。
「シャアアアアアアアアアッッ!」
「う……おおおおおおおおおおおっ!!」
俺の首を寸分違わず狙いすまして大振りに薙ぎ払われたハルバードの先端をギリギリで掻い潜り、恐怖を吹き飛ばして一気に懐へと入り込む。
こええええっっ!
けど……これは、殺った!
自分の勇気を賞賛しながら、思わず笑みをにじませて肉厚の刃をガラ空きの首へ――。
「んなっ……!?」
コブラソルジャーの首がありえない角度、ありえないスピードで直角に折れる。
渾身の力を込めた一撃は空を切り、受けるはずだった抵抗を失った鉈の勢いは止まらず、俺は振り回されるように体勢を崩した。
瞬間、コブラソルジャーの目が、粘つく笑みを浮かべるように細く引き伸ばされるのを見た。
やっっべえ!
気付いた時には、左足に太い尻尾が二重三重に巻きついていた。
すぐさま解こうと鉈を振り上げる。
しかし、コブラソルジャーが左手のバックラーで俺の右手を激しく打ち付けると、俺の唯一の武器は回転しながら高々と舞い上がり、無情にも手元から離れていった。
やばいやばいやばいやばいやばい!
と、とにかく尻尾を――。
頭が真っ白になって、素手で引き剥がそうとした、その時。
俺の足に激痛が走った。
ボキボキベキキバキッパキャ!
「ぐっ……あああああああああああああああああ!!」
骨が折れただなんて生易しいもんじゃない。
粉々に砕けた。
想像を絶する痛みに、俺はこれまでの人生で記憶にないくらいの絶叫を上げた。
体中の感覚が全て左足に集まったんじゃないかと錯覚する。
事実、手は動かないし頭も働かない。
ただただ、燃えるような痛みだけが俺を支配した。
いっそ左足を切断できたらどんなに楽だろうか。
苦しみで歪む視界の中央で、コブラソルジャーが口を大きく縦に開く。
鉤爪のような二本の牙が、小刻みに振動する割れた舌が、糸を引く唾液が、奥に広がる暗闇が、ゆっくりゆっくりと近づいてきて…………。
「や…やめてーーーーーーーーっ!」
絞り出すようなサユの悲痛に満ちた声が耳を吹き抜け、体の感覚を取り戻す。
次の瞬間、弾丸のように飛来する物体がコブラソルジャーの右目を直撃した。
「キシャアアアアアアアアアアアアアッッ!」
血しぶきを上げながら頭部を仰け反らせるコブラソルジャー。
何が起こったのか理解できず呆気にとられる俺は、足の締めつけが緩んだことに気付いた。
力の入らない体を鞭打って何とか脱出に成功し、転げ回って距離を取った。
「な、何が……一体…………」
「てんちにぃ! だ、大丈夫!?」
心配そうにすぐさま傍に駆け寄ってきたサユを見ると、その手には……こぶし大の石が握られていた。
「そ……それ、を……投げた……のか?」
「う、うん……なんとかしなきゃって思って、必死に……」
あのショットガンみたいなハンパねえ威力が……石ころ!?
多分、俺は今ものすごく間抜けな顔をしているだろう。
そのくらい驚いた。
なるほどなぁ、石つぶてかぁ、その発想はなかったわぁ……。
「けっこう効いたみたい、だけど……だけど、もうダメかも。ちょうどいい石がないし、注意されると防がれちゃいそうだよ」
「そ、そっか……いや、マジ助かったよ、ありがと」
「う、ううん……でも、その、あ、足……足が……」
「……ま、こんくらいへーきへーき」
泣きそうな顔と震える声を少しでも解消させたくて虚勢を張ってみたが、いかんせん俺がよほどヤバそうに見えたのか、サユの様子はますます悪化してしまった。
うん、しゃーない。
足がこれだけグチャグチャになって普段通り振る舞えるほど痛みに耐性ないし。
ていうか、裾をまくったら足がどんな状態になってるのか怖くて直視できない。
「ご、ごめん……やっぱり、あたしが戦うよ。こうなったのも全部あたしのせいだし、レベルだって……」
「待った待った! もう一回だけ俺を信じてくれ。考えがある」
「…………ほんと?」
「ああ、次こそ倒せる」
正直なところ、考えと呼べるほどのものじゃないので七割は嘘だ。
ちなみに、残りの三割は願望と現実逃避でピッタリ埋まっている。
「…………ほんとにほんとにほんと?」
「ああ……って、こんな言い合いしてる場合か! 任せろって」
依然として不安な表情は晴れなかったが、俺の真剣さが伝わったのか、サユはそれ以上口出しすることはなく、静かに頷いた。
「よし、じゃあサユにも少しだけ手伝って欲しいことがあるんだ。まず……」
手短に作戦を伝え終わると、投石によって片目を潰されて悶絶していたコブラソルジャーも完全に戦闘態勢に戻り、興奮した様子でハルバードを突きつけてきた。
「やる気満々って感じだな……。ったく、できることなら平和的に話し合いで解決したいってのに……」
さっきの二の舞を避けるべく、俺は慎重に相手の出方を……うかがうことなく、一見すると無謀とも思える突進を決行した。
一見どころか、録画して百回見直しても自殺行為だろう。
しかし、この負傷した足とリーチの差があったら、距離を取っても百害あって一利なし。
やはり間合いを詰めて長物武器の長所を殺し、相手の行動を制限するのが一番。
「あ~うまくいく気がしねえ……。でも……ええい、ままよっ!」
万全の状態ですら、半分以上は運に助けられてなし得た荒業だ。
ご覧の有様である現在の成功率は、それはもう悲惨なものであろう。
タイミングを誤れば……結末は言うまでもない。
俺は鉈を杖代わりにして無様に特攻し、ハルバードの攻撃範囲にギリギリ入るか否かになった瞬間、恐怖を吹き飛ばす意味も込めて声のあらん限り叫んだ。
「サユ! 今だっっ!」
「い……っけーーーーーーっ!」
俺の合図を聞いて、サユは手にした石の塊を力いっぱい投げつけた。
大リーグ投手も裸足で逃げ出す剛速球だったが、すでにサユを俺以上に警戒しているコブラソルジャーは、バックラーで難なく弾き落とした。
貴重な残弾は不発に終わったが、計画通りだ。
コブラソルジャーが衝撃でぐらついたことと、注意力の大半がサユに向けられていることによって、俺が懐に潜り込む時間と隙は十分に作られていた。
ここで首に鉈を一閃……ってのは、俺の攻撃速度じゃ無駄だと学習済みだ。
俺のレベルでコイツを倒すには、もっと決定的なチャンスを生み出さなければいけない。
だから――。
「食らえっ! 必殺……
俺は左手を突き出し、唯一にして最弱のスキルを使った。
いかにも強力な攻撃魔法を放つような迫力と、つい今しがた右目をえぐられた記憶がこびりついたせいもあって、コブラソルジャーは俺の左手を避けて首を大きく左に倒した。
しかし、全MPを費やして勢いよく噴出した九十グラムのコショウは広範囲に及び、コブラソルジャーの残る片方の目にしっかりと命中した。
「キシャアアアーーーーーーーーッ!」
「よっしゃっ!!」
思わずガッツポーズを決める俺の前で、コブラソルジャーは完全に視覚を奪われて体をよじる。
これで心置きなく首を落とす一太刀を……。
という考えを察してか、コブラソルジャーは体を小さく密集させつつ、バックラーで首をガッチリと守って、スルスルと後退し始めた。
だが、この行動も予想通り。
「お……っらあああああ!」
俺は落ち着いて、ハルバードを握るコブラソルジャーの右手を斬り落とした。
「やっ、やったーーーーっ!」
サユが喜びの声を上げる。
が、まだ早い。
まだ攻撃手段を一つ奪っただけだ。
ここで油断したら間違いなくあの世行きだ。
でも、大丈夫、問題ない、落ち着け、慌てるな、取り乱すな、クールになれ、次の行動も読めてる。
「シュルルルル……シャーーーーッ!」
右手を失い視覚を絶たれたコブラソルジャーは、意を決したように天を仰いで今までにも増して激しく鳴くと、バックラーを振り回しながら猛然と迫ってきた。
追い詰められた生物の、想像を遥かに超える威圧感に息が詰まり、たじろぐ。
「てんちにぃーーーーーーーッ!」
サユの声に勇気づけられて、鉈を持つ手にギュッと力を入れ直す。
ビビるな、計画通りだ。
コイツは今、予想外のダメージと視覚を失ったパニックによって冷静さを欠き、俺達のいる方を強引に突破しようとしている。
後ろの部屋にはセーブクリスタルがあって近づけないから、そうするしかない。
だから、聴覚だけを頼りにがむしゃらに突っ込んでるだけだ……多分。
その証拠、とまでは言えないが、大声で叫んだサユを目指して特攻を仕掛けている……気がする。
つまり、俺がすべきことは。
正確な位置を悟られずに……止めを刺す!
「が、がんばってーーーーっ! やっちゃえーーーーーー!!」
結局、サユには攻撃される危険を冒して注意を引きつけてもらっている。
まったく、情けねえなぁ、カッコわりぃなぁ、よええなぁ、俺……。
ここまで援護してもらったんだ、足が痛いとか怖いとか言ってられっか。
コイツは、今、ここで、確実に仕留める!
意地があんだよ、男の子には!
「――――ッ!!」
俺は地面に落ちたハルバードを静かに拾い上げ、脇を通り過ぎようとするコブラソルジャーの尻尾を半ばから思いっきり叩き切った。
「キッ……シャアアアアアアアアアアアアッ!」
バランスを崩して頭から倒れるコブラソルジャー。
咄嗟に首を守ったバックラーを持つ手を、今度は鉈で――。
ズカッ!!
「シャアアアシャーーーーーーーーーーーーッ!!」
最後に……!
最後に、晒し出された首を、腰を捻って、おおきく振りかぶって――!
バクンッッ!!
…………ばくん?
「て……て、てんち……にぃ…………」
俺は自分の左腕に目を向け、そして気づいた。
コブラソルジャーの巨大な口が、深々と食らいついていることに。
幸いなことに、巨大な二本の牙はかろうじて避けているものの、ギリギリギリギリと左腕が圧迫され――。
ミシ……ミシ……ボギッベキ!
あっけなく折れた。
やばい……やばいやばいやばいっ!
早く早くはやくはやくハヤク――――ッ!
俺は右腕だけで何度も何度もコブラソルジャーの首を斬りつける。
しかし、力が入らず、なかなか切断には至らない。
斬りつける度に衝撃が脳天まで電流のように伝わり、腕の圧迫が強く、だんだんだんだんと強くなっていく。
死にたくない、死にたくない、という執念が痛みとともに伝わってくる。
「ちっ……くしょおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!」
俺は雄叫びを上げ、最後の力を振り絞り、コブラソルジャーの首を斬り飛ばした。
「てんちにぃーーーーーーーっ!!」
サユが急いで駆け寄ってくる姿が、視界の端に映る。
しかし、その姿が俺に到達する前に。
目の前が、頭の中が、真っ黒に染まり…………。
俺は、崩れ落ちた。
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