NEXT 第8話 駆け抜けるゴンザレス太郎!彼が通ると元に戻る!

「とりあえず落ち着いたようね」


サラがどの透明オークが町の人が変化したものなのか分からない為、殺すことなく制圧するという戦いに疲れた様子でミリーに声を掛ける。

それに対して無言で頷きながら辺りを警戒するミリー。

別の生き物に変化させられると言うのはゴンザレス太郎のコード『主要キャラの名前変更』と同じく状態異常解除の可能性があるため常に警戒をしているのだ。

特にミリー以外は寿命が神化で止まっている為、解除されると非常に困る事になる場合が在る。

ゴンザレス太郎に至っては寿命が切れる寸前でもあるので特に注意が必要なのだ。

そして、そこに対処に走り回ってたフーカと金髪ツインテール娘が戻ってくる。


「ねぇ、タツヤは?」

「あれ?」

「あっ?!」


言われてミリーとサラも気付く、ゴンザレス太郎の姿が何処にもなかったのだ。 

何処に行ったんだろうと3人が探し始めた時に金髪ツインテール娘は自らが世界最強と呼んだ相手をスキルで拘束したまま忘れていた事を思い出し顔を真っ青にして声を上げる。

もしかしたら自分のせいで透明オークにやられたのではないかと考えたのだ。

しかしそんな金髪ツインテール娘にフーカは声を掛ける。


「大丈夫、タツヤがあんな奴等にやられる訳がない」


それに同意するかのようにサラとミリーも頷く。

彼女達の中ではきっと両手両足を拘束されオリハルコン製の箱に閉じ込められ魔海の底に沈められた上に上から隕石を落下させても無事だろうと考えられているに違いない。

そして、丁度その時だった。


「通るよー!」


まるでホームを通過する特急列車の様な状態で四人のすぐ横をゴンザレス太郎らしき人物が駆け抜けていく。

そして、ゴンザレス太郎の通った場所の近くに居た透明オークが次々と光に包まれ元の人間に戻っていく。

コード『限界突破』のカンストを超えたスピードで町中を駆け巡り僅か数分で彼女達の前に戻ってきたゴンザレス太郎。


「全く、伝承通りの異常者め」


それと共に歩いてきた金髪の青年がゴンザレス太郎に声を掛ける。

その青年の耳を見て3人は驚く、噂に聞く長寿のエルフだと尖った耳を見て全員一目で理解した。


「まぁ冒険者ギルドのお陰で対処法が分かったんだし良いじゃないですか」

「はっ、伝承のゴンザレス太郎がここまで異常だとは私の方で修正しておかないと駄目だな」


和気藹々と会話をする二人に誰この人?っと視線を向ける彼女達にエルフの青年は頭を下げて挨拶をする。


「初めまして、私はこの町の冒険者ギルドのギルドマスターをやらせてもらってる『リルダーツ』と言います」

「ギルド…マスター?」

「はい、先程冒険者ギルドの方にこの人が駆け込んできまして…」






時は少し巻き戻る。


冒険者ギルドから外に出てきた女冒険者が突如透明オークに変化したのを見たゴンザレス太郎は直ぐに冒険者ギルドに戻った。


「おい!ここの冒険者ギルド内に呪いか状態異常を規制する何かあるだろ?それは何だ?!」


と慌てながら受付嬢に問い詰める両手を縛られたまま青髪少女。

口調が男のそれに戻っていたのだが本人はもう気にしてはいなかった。

だが冒険者ギルド内も先程の門番の報告にてんやわんやの状態でそれどころではないのだ。


「えっと・・・」

「町の人を救う方法があるんだ!早く教えろ!」

「そうおっしゃられましても・・・」

「何事です?」


ゴンザレス太郎の叫びを聞いて奥の部屋から出てきた金髪の青年。

見た目は普通の冒険者と言われても納得しそうなその青年はゴンザレス太郎の方を見て話す。


「私はここのギルドマスターのリルダーツと言う者ですが貴女は?」

「俺はゴンザレス太郎、ここから出た冒険者が突然オークに変化したのを見た。つまりこの中に居る間は変化が作動しなかったって事だ!ならばここには何かの抑制的な力が働いてるって事だろ?それを知りたい!」

「ゴンザレス太郎?何処かで…」


普通の人間ならば知る筈もないその名前、だが長寿のエルフであるリルダーツは見た目は青年だが既に年齢は250歳を超えていた。

そして、若い頃はリルダーツも普通の冒険者として頑張っていたのでその頃に聞いた話の中でその名前を聞いた事があった。

既に200年も前の話では在るがその名前を調べれば調べるほど伝説上の人物として幾つかの文献にその名前が残っていた。

それは何千年も前から残されていると言う書物。

そこに書かれていたのはとても一人の人間が成し遂げたとは思えない様な事件であった。

幼い頃のリルダーツはそれを興奮しながら読み漁った事があった。

その記憶が戻って来た。


「ま・・・まさか、伝説のスキルの持ち主?!ゴンザレス太郎タツヤ様ですか?!」

「多分それ俺だわ・・・とまぁそんな事は良いんだ、とりあえずここの抑制的な力の事を詳しく聞かせてくれるか?」

「で・・・ですがなにか本人だと確認できる物を見せてもらえないと・・・」

「あぁ、もぅ急いでるのに・・・スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」


そして、ゴンザレス太郎は財布を逆さにして開く・・・

そこから止め処なく流れ出る白金貨・・・

冒険者ギルド内に居る全員がその光景に顎が外れるのではないかと思うほど口を開けて見詰めるのであった。

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