第120話 一時的な安息

場は静寂に包まれた。

心ない天神達の消滅の光によりゴンザレス太郎達が消された様に見え絶望の二文字がその場にいる全員に浮かんだ。

その中でマコトの消滅を目の当たりにしたサリアは遠くなりそうな意識を必死に堪えて天へ祈りを捧げる。

神など居ない、いや、糞みたいな神ならこの現状を作り放棄して逃げているのに…


命からがら逃げてるマリスも心ない天神達が動きを止めた事に気が付き離れた場所でそれを見る。

そして、一体が何かを察知したように動き出し次々と心ない天神達は一方向へ向かって空を飛んでいる。


マリス以外は何が起こってるのか分からなかったが各々の目には祈りを捧げるサリアの姿が入り最後の最後で聖女様の祈りに天の使いが怒りを納め帰っていったと勘違いをする。

仲間を失った者、手足を消された者、もうすぐ息絶える者…

誰もがその天へ祈りを捧げるサリアの姿に祈りを捧げるのであった。


「心ない天神達が無差別に皆殺しを行わないと言うことはゴンザレス太郎がどうやったのか分からないけど逃げ切ったと言うことか。助かった~」


クズな神は自身の保身しか頭に無かった。






場所は変わって魔物の町入り口。

そこへ転移してきた4人が居た。

ゴンザレス太郎、サラ、デニム、メールである。


「なんて事だ…ジル…」


デニムは悔しそうな顔をして拳を地面に叩き付ける。

あの仮クリスマスの日から二人は交際を続けていた。

それが目の前で助けることも出来ず自分だけ助かったと言うのが許せなかったのだ。

そして、それはメールも同じであった。

彼女もまたヤバイとの交際をスタートさせていたのだ。

そして、彼女のお腹の中には…


「ゴンザレス太郎、アンタなら…アンタしか出来ないことだ。フーカの、私の親友の…そしてパパの仇を取って!」


サラの信頼の込められた言葉はゴンザレス太郎にも響く、彼もまた目の前でフーカを失ったのだ。

そして、彼女はもう生き返れない。

彼女だけではない、あの場で消滅の光を浴びた全員が二度と戻ることはないのだ。

死ではなく消滅、それを理解しているゴンザレス太郎は最後の最後でフーカを守る約束が果たせなかった事を呪った。

あの場に残された人々の末路は想像に容易かった。

だからサラも魔王は死んだと考えたのだ。

だが実際には残された人々は生きて見逃され心ない天神達は一斉にゴンザレス太郎目指して向かっている。


「皆、知恵を貸してくれ。アイツ等を倒す方法はあるんだ。」

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