第118話 神の最大の誤算

「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」


ゴンザレス太郎が皆に聞こえるように大声でスキルの発動を知らせ全員がその準備が終わるまでゴンザレス太郎を守る!


「甘い!スキル『居合い拳』発動!」


ヤバイの遠距離でユニークスキル居合い拳で魔物の顔面を殴り怯んだ魔物を他の者が一斉に攻めかける!

ヤバイのただ離れた場所を殴ることができるだけのスキルだが透明の拳が遮蔽物があってもお構い無く目的の場所を殴れる!

つまり、防御不能の拳の打撃を任意の場所に遠距離から放てるこのユニークスキルの強さは本人が一番よく知っていた。

伊達に町で一番Sランクに近い男と呼ばれている訳ではない!


「いつでもいいわよ!」


サリアを守る親衛隊の中でも魔法が得意な二名がサリアの前に電気のレーンを作り左手で結界を出し白金貨を置く!


「いいぞー!」

「みんな当たるなよー!」


ゴンザレス太郎の完了の合図と共にサリアの白金貨レールガンの乱射が始まる!


『弾無限』によるレールガンの乱射は次々とSランクの魔物を貫きSSランクの魔物ですらそのあまりにも早い攻撃を回避できず大ダメージを負う!


「みんな下がってー!」


ジルの大声に一斉に冒険者達は後退し数名で結界を張る!

次の瞬間空から天の裁きが生まれた瞬間の魔物も生まれる前の魔物も赤砂ごと消滅させる!

更に照射しながら角度を変えて動く極太レーザーとなった攻撃は灼熱の砂漠を蒸発させていく!


だがそれでも広大な砂漠の砂のほんの一部を蒸発させたにすぎず地平線に広がる赤砂から生まれた魔物は空へと次々と登っていく!

そして、遥か上空の成層圏で展開されているメールの結界に次々と辿り着きそれを破壊する!

だがメールはもう一枚の結界をそのまま下へ落下させ赤砂へと飛んでいた魔物を巻き込みながら叩き付ける!

その間も地上ではひっきりなしに魔物が襲い掛かり次々と撃退していく!


「やつだ!」


魔王が闇魔法で上空の魔物と戦っている時に地上に現れたそいつは因縁の『鬼神』である!

しかも30体は居る!


「この前とは違うぞ!喰らえダークデスマスク!」


魔王から放たれた黒い霧は鬼神の頭部にまとわりつく!

霧なのでもがいて取ろうとするが触ることも出来ず暴れる鬼神の頭の周りで霧は細長い突起を作り回転させる!

そしてそれはもがく鬼神の耳から侵入し脳内を破壊し鬼神を絶命させる!


「貴様にやられてから編み出したこの新魔法しっかりと味わえ!」


そう叫ぶ魔王だったが既にゴンザレス太郎が鬼神の頭部を次々と粉砕しその命を奪っていく!

しかも今回はしっかりと角を折ってから殴り鬼神の素材である角を残していた。


「全くあいつめ…」


ゴンザレス太郎の異常性にはもう慣れた魔王はにやけながら呟き空を飛ぶ魔物の撃墜に戻る。




「な、なんなんだこれは…」


マリスは理解が出来なかった。

Sランクの魔物は人間には倒すのは不可能だろうとされるレベル、SSランクは魔族でも魔王クラスでないと相手になら無いレベル、SSSランクに至っては異世界中の戦力を集めれば一匹位は倒せるかもしれないレベル、そして鬼神は神に届く強さで倒せるわけがない。

それが今目の前で起こってる事実に驚きを隠せなかった。


「こんなのはバグだ。そうに違いない、こんなのあり得ない、嘘だ。」


そう呟くマリスは遂に禁断のモノに手を伸ばしてしまう。

それは本当に冗談で作った反則のモノ。

そして、マリスはそれを産み出してしまった。


一斉に戦っていた魔物が動きを止める。

それの誕生を察知したのかは分からないが人間と戦っている場合ではないという気配が伝わるくらい生み出されたそれに一斉に威嚇をする。

SSSランクの魔物だけでなく鬼神までもその存在に恐怖していた。

人の形をした背中に羽がある金髪の天使であった。

そして、それはゆっくりと空に浮かび上がり手をかざす。

何かを察知したゴンザレス太郎が動こうとするが次の瞬間その手から放たれた白い光はその射線上にあった全てのモノを消滅させる。

魔物も人もその光の通った場所にあった全てのモノは消滅した。


そう、その光はヘイトを集めていたフーカを狙って放たれたのだ。

当然目標であったフーカは…


「えっ…あれ…フーカ…」


ゴンザレス太郎の手が宙をさ迷う。

最後の一瞬フーカはゴンザレス太郎の方へ手を伸ばしその手首から先だけを残して消滅したのだ。

そして、更に追加の光は落下したフーカの残った手首も消滅させる。


音が止まった。

何が起きた?

フーカが消えた?

周りが静けさに包まれる中、笑い声が響き渡った。


「ははははははは!どうだいこれが僕が冗談で作った最強の魔物『心ない天神』だ!ゴンザレス太郎、君のその表情が見たかったんだ。教えてあげるよこの心ない天神の事を!」


そう言ってマリスは機嫌を良くして説明を始める。


「ステータスは全てMAX!更に『絶対物理遮断』と『全属性攻撃魔法無効』と『全ステータス異常無効』!そして、『消滅の光』が使えるのさ」


ゴンザレス太郎の耳にその言葉が入っては来るが何も言わない。


「その表情は分かっているようだね、こいつの消滅の光は通過したものを消滅させる。死ぬのではなく消滅、分かる?消えるんだよ当たったら最後僕でさえも消えるし生き返れない!どう?素晴らしいでしょ?」


全員が絶句して言葉を聞き続ける。

魔物さえも動かずその話を聞き続ける。


「そして、君達は僕を怒らせ過ぎた。だからこんな絶望はどうかな?」


マリスが手を上にあげて指をパチンと鳴らす。

すると赤砂から次々と産み出される心ない天神達。

その数は増え続け空を埋め尽くしていく。


「だけどこいつらは僕の命令すら聞かなくてね、使うのは躊躇してたんだ。でもこいつら用に方法は考えて準備してあるんだ。」


ゴンザレス太郎は黙ってその言葉を聞く、無表情だが心の内に怒りの炎は燃え上がっている。


「それがこれさ!おいで、僕のもう一つのボディ」


マリスは呼び掛ける。

だが何も来ない…


「あっ?あれっ?おかしいな?」


マリスは後ろを見る、今は自分の力で止めてはいるが今もし心ない天神達が動き出したら間違いなく自分が一番最初に消滅させられるのを理解しているからだ。


「ま、魔王!お前に預けてた『悪魔大元帥アモン』は、僕の体はどうした?!」

「アイツなら死んだぞ、フーカに殺された」

「なっ?!そんな馬鹿な!」


実は悪魔大元帥アモンはこの世界の創造神であるマリスが作った人工合成生命体なのであった。

それに知性と意識を与えて魔王の部下として生かしていたのだ。

その為、悪魔大元帥アモンのみこの世界で2つまでしか持てないはずのユニークスキルを4つ持っていたのだ。

更に殺されないようにダメージが一定量を超えると自動的に全回復するスキル『全自動フルケア』と、どんなダメージを喰らってもHPが10残るスキル『ふんばり』という隠されたユニークスキルを持った特別な存在だったのだ。

だが悪魔大元帥アモンはゴンザレス太郎のプロアクションマジリプレイの効果でHPを一切減らさず毒針で即死させられた為そのスキルを発動することなく死んだのだった。


「じ…じゃあ…これは…不味いっ!」


そう言って慌てて駆け出すマリス。

マリスの予定では悪魔大元帥アモンのユニークスキルの一つ『永続的洗脳』を使用し心ない天神を全て操るつもりでいたのだ。

そして、マリスが逃げ出したと同時に心ない天神達は動き出す。


戦場は惨状に変わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る