第4話 ユニークスキルと礼拝堂

この世界では6歳になると礼拝堂と呼ばれる場所で祈りを捧げユニークスキルを授かる。

このユニークスキルは先天性のモノで後から取得することはできないので、ある意味これで将来の進路が絞られるとも言われてる。


今年で6歳になるゴンザレス太郎も両親に連れられて礼拝堂へ来ていた。


「パパ!私『思考加速』ってスキルなんだって!」


すれ違った女の子がどうやら思考加速というスキルを授かったらしく両親も鼻が高そうだ。

これは物事を考える速度が早くなるスキルで、このスキルを持ってるだけで働き先は引く手数多らしい。

お父さんは今日のために色々勉強したらしく胸を張って教えてくれる。


「ママー僕『絶対浄化』ってスキルって言われたけどこれなーにー?」


今度の男の子は絶対浄化ってスキルらしく母親は微妙な顔付きだ。

これは呪われた土地の浄化やアンデットに対してかなり有利になるスキルなのだが働き先としては冒険者や不動産屋、教会と言ったちょっと片寄った内容だ。

勿論スキルは現代の資格みたいなもので後から取得できる通常スキルで似たような事はできる。

ただ通常スキルとユニークスキルではユニークスキルの方が効果が高く比較されたときは優遇されるのがよくある話なのである。


すれ違う中には多分あまり使えないスキルを得た人も沢山居る。

子供は良く分かっておらず新しいスキルを得たことに喜んでいるが親が浮かない顔をしているので一目で良くわかる。

それでも努力すれば通常スキルを得て希望の仕事に就ける人も沢山居るのでそこまで落ち込む必要は無いとゴンザレス太郎は考えている。


いよいよ前の女の子が礼拝堂の祈りの部屋に入っていった。

ここは親は同席できず子供が一人で祈りを捧げる部屋で、言うことを聞かない子はスキルが貰えないと小さい頃から躾の一環として教え込まれているので悪戯っ子も今日だけは良い子にしている。


「をををををを?!」


礼拝堂の職員達が歓声を上げる!

どうやら前に入った女の子が凄いスキルを得たようだ。

女の子の両親が近付き女の子に聞くと女の子は…


「良く分からないけど『聖剣召喚』と『能力全強化』なんだって」


回りの人もそれを聞いて歓声を上げる。

特に聖剣召喚は伝説の勇者が持っていたとされるスキルらしく「勇者様!」と女の子に大の大人が頭を下げていたりする。


くじ引きでは無いのだがどうにも当たりの次に引くと再び当たりが出ることは無いと感じるゴンザレス太郎は少し落ち込み気味だ。


そして、いよいよゴンザレス太郎の順番がやってきた。

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