あどけない笑顔、むき出しのナマアシ

青く晴れた日だった。

昨日までの雨が嘘のように、

鳥たちが気持ち良さそうに空を泳いでいる。

僕はどちらかといえば雨男だ。

生まれた日も大雪だったそうだ。


彼女には土地勘がない。

待ち合わせは彼女らが住むレオパレス。

彼女ら…つまりルームシェア二人暮らしである。

当然相手も研修生で、仕事も一緒。

何度か訪問しているのでわりと仲も良い。

8時に待ち合わせ。

僕は適当な性格のくせに、時間はわりとしっかり守る。いつも5分前には必ず待ち合わせ場所に着く。

インターフォンを押すとその相方が出てきた。

「チョットマッテ!」

それから2分程待つと再び彼女が出てきて、ニッコリ笑いながら、

「ドウゾ!」と通してくれた。

「ありがとう。おはよう。」

「オハヨウゴザイマス」

ちなみに部屋は土足である。

初めて来た時は少し驚いた。

土足文化は西洋人だけだと思っていた。

一応外履きと区別はしているようで、彼女たちはサンダルに履き替える。

 僕も初日は靴のまま入らせてもらったが、さすがに気がひけるので(ちなみに初日は雨が降っていたので、靴はベタベタだった。)2回目以降はスリッパ持参で上がりこんでいる。


「早!」

「おはよう!」

部屋の奥に燕ちゃんが少し濡れた髪をかわかしていた。

シャワーを浴びていたようだ。

シャンプーのいい香りを感じながら、奥に入っていくと彼女が笑顔をで出迎えてくれた。

癒されつつも目のやり場にこまる…。


暖かいエアコンの効いた部屋

長めの髪をとかしながら

イスに座る彼女。

長めのTシャツに

健康的な

少し太めの

20代の

ナマアシ…。


からかっているのか、

何にも考えてないのか?

それとも男として意識していないのか?


おいおいそのTシャツの下どうなってんだよ…。

などと妄想しつつ

思わず唾を飲み込みながら、

ついいやらしい目で彼女の足先から

太ももまで目をやってしまう。

そのまま視線をあげたら

彼女と目が合ってしまう。

「ナニ?」

「なんでもない。」


「警戒心なさすぎだよ…。」

と思わず小声で言うと聞こえているのか、なんなのかんからないが微笑む。

で、まんまと撃ち抜かれる僕。

「可愛すぎだろ。」

と再び小声で言ってみる。


「トオイですか?」

と現実に戻す同居人。

まぁ当然彼女は留守番だけど。

同居人の声のおかげで我にかえり

「遠い。電車で一時間。」

あっ電車の格安チケット今のうちに買っておこう。

「電車の切符買ってくる。」

「ア?」

日本語も日常語以外は伝わりにくい。

スマホを取り出して翻訳してもらう。

「アー!オッケー!」

「ゆっくり用意してね。」

「はい」

そして再び玄関をでる。


 デートの前からこんなんじゃやばいな。

しかし燕ちゃんは僕の事をどう思っているんだろうか?

遊びに連れて行ってくれるなら、

誰でも良いのか?

母国から離れて少し寂しいし、

遊ぶ相手が欲しいのか?

まぁ何度か会っている以上、

印象は悪くないと思ってくれてるだろうけど。


いづれにしても相手の気持ちを聞くのはまだ早い。

惚れているのはこっちの方だ。

今まで付き合ってきた人は歳上ばかり。

(と言うほど沢山付き合ってきたわけではないが。)

若い娘の気持ちはわからない。

(歳上の気持ちもわからないから離婚するんだけど)

僕の妄想的な理想の女の子は

年下で

少し抜けてて

背が小さくて

ややポッチャリで

御菓子が大好きで

ちょっとルーズ

いつもニコニコしている


なのに何故か出会う女性はみんな年上だった。

年下がいなかったわけではない。

でも引かれなかった。


燕ちゃんは、今のところその妄想の半分以上満たしてる。


だけど僕は、一年で国に帰る彼女を追って彼女の母国に行く気もないし、もう誰とも結婚はしないと決めている。


 なんてね。燕ちゃんの本心を知らない勝手な独りよがりだな。

 それ考えると残り一年もないわけだから、やはり彼女がどう思っているか聞いておくべきなのかもしれない。


そんな事を考えながら、格安チケットを自販機で購入し彼女の家へと戻った。


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