勇者ヨシヲと導かれし色物たち〜

ジョナさん

第1話 ヨシヲと始まりと終わり

どこにでもいる平凡な見た目の平凡な高校生だった俺ことヨシヲ。なんやかんやで異世界で勇者をやることになった訳だが、今最大のピンチを迎える....



 遡ること1時間程前〜

俺は突然この某有名RPGに似た世界にとばされてしまった。理由は解らないのだがその最初の街アリアッハ〜ンの城の王様曰く


「そなたこそ魔王を倒すべく選ばれた勇者。300Gやるからさっさと酒場行って仲間作ってちゃっと魔王を倒して下され。」


 との事で、俺は某有名RPGの流れ通り酒場に向かい仲間を集める事に決めた訳なんだが....


どうも勝手が違うようだ


何が違うかというとだ....

受付のお姉さんに勇者である旨を伝えても仲間を紹介してくれないのだ!


 何故なんだ?

いきなり躓いてしまったぞ!

しかもお姉さんはなんか可哀想な人を見る様な感じでこちらを見ている気がする....

王様から何も伝えられていないのだろうか?


 そんな事を思案していると俺が座っているテーブルに誰か近付いてくるようだ....

照明に被って見えるのは杖を持ち、鍔の広い三角帽にマントのシルエット。

女魔法使いなのか?もしかして困っている俺を見兼ねて声を掛けに来てくれたのか?

淡くも仄かな期待を持ちつつそちらの方向に身体ごと顔を向けた瞬間俺は絶句した....


 なんかふざけた格好したおっさんが三人。縦に並んで女魔法使いのシルエット作り出してやがった....ファック!


 一人目のおっさんは南海キャンデ◯ーズの山ちゃんに品性と愛嬌を失わせた様な....

おかっぱ頭にオサレ眼鏡、マントにストライプのステテコパンツだけ装備したはっきり言って不審者だ


 二人目のおっさんは薄緑の魔法使いのローブと木で出来たいかにもな杖を持ちボサボサに伸びた髪に瓶底の様な眼鏡。そしてかなり細身だ。一見して一番魔法使いっぽいが影が薄くやはり不審者だ


 三人目のおっさ....いやこの魔法使いの帽子被った濃紺のスーツの人、まんま阿◯寛じゃね?顔がそっくりってレベルじゃねぇし身なりからして一番安心出来るのは間違いないんだが....


 関わりたくねぇ〜。凄く関わりたくない!

なんでおっさんばっか近付いてくるんだ?チェンジと叫びたい!せめてファンタジーな世界なんだから可愛い女の子を見せてくれよ!


 そうこうしてるうちに三人は俺のテーブルの向かいの椅子に座りだした


「お困りのようですね?」


 スーツの阿◯寛に似た男がいい笑顔で質問してきた


 困っているのは正解ではあるが関わりを持たれる事こそが俺にとって更なる困り事である事を相手は理解していない。本当に困った....


 とりあえずはお引き取り願おうと思う。いや、誰が好きでおっさんだけのパーティー組むよ?こんな異世界ファンタジー罪深過ぎるでしょ?誰も見たいと思わないよね!


「凄く....大丈夫です。」


 やんわり笑顔で御断りの意思を伝えてみる

俺の返答にスーツセキス◯ハイムの男は嫌な顔せず


「いや、困っていないならいいんだがどうも君はこの街に慣れてない気がしてね。我々はこの街に住んでるから困っているなら..


 そこまで聞いた時点で俺は自分がとんでもない早とちりしていた事に気付いた。この人達は『はい』一択の仲間になる強制イベントとかではなく右も左も解らないこの状況を助けてくれるというのだ。こんな紳士?な人達を無下にしようとした自分が恥ずかしくなった


「すみません。実は酒場で仲間を紹介して貰おうと思ってたんですけど、どうにも紹介して貰えなくて困ってたんです。」


「話は解りました。一緒に受付に行って受付の方に話を伺ってみましょう。」


 スーツの大学教授の様な男のおかげでいい方向に話が進みそうだ。この人はどうやら本当に紳士であるようだ。他の二人は空気だがこの際気にしない


 受付に着くと先程のお姉さんに今度は最初からスーツの中小企業の社長の様な男が話を聞く、そして話を聞き終えてこちらに驚愕の事実を教えてくれた


「どうやら受付の方はあなたが勇者という“架空の職業”を持ち出して仲間を募ろうとする不審者ではないかと思っていたそうです。」


つまりどういうことだってばよ....


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