転生して、女騎士になった俺

柊 蒼

プロローグ

「どうすればいいんだよ……」


 俺、紫倉楓しくらかえでは今悩んでいた。

 何に悩んでいるかというと、女子に放課後に呼び出されて大事な話をされたって言えば分かると思う。

 まあ、言っちゃうと俺は告白されたのだ。

 今まで告白なんてされたことなかった俺は、すぐには返事が出来なくて後日返事をすると告げて帰ってきた。


(俺だって男だし、人生初告白は素直に嬉しかった。でも、幼馴染み2人・・・・・・に同時に告白されたらどうしたらいいんだよ!)


 そうなのだ、俺に告白した女子は2人いたのだ。

 しかも、どちらも幼馴染みだ。

 正直な話俺は、どちらかを選べる気がしない。

 2人ともタイプは違うが美少女だっていうのもあるし、これで関係が壊れてしまうのが嫌だ。

 でも、選ばなくてもそれはそれでダメな気がする。


「はあ……。俺ってわがまますぎだろ……」


 優柔不断な自分に嫌気がして、そんなことを呟いてしまう。

 しかし、それも仕方がない。

 告白の返事を先伸ばしにして、帰ってきてから数時間ずっと同じようなことを考えてしまい答えが出せていないのだから。


(このまま考え続けても答えが出なさそうだから、一旦コンビニにでも行って気分を変えるか)


 俺は、準備を整えて家を出て近所のコンビニに向かった。


「しっかし、俺めっちゃ考えて込んでたんだな。もう外が真っ暗だ」


 俺が、自分の集中力に呆れながらそんなことを言っていたとき不意に視線に動く影が写った。

 それが気になり影が向かった方向に視線を向けると、それは小さな子供だった。

 なんで、こんな時間に子供が1人でいるんだなんて俺は思った 。

 だが、その子供は信号に気付かずに横断歩道を渡ろうとしており、そこにトラックが走ってくるのを見た俺はそんな疑問がすぐに消えた。


「そこの子供止まれー!」


 俺は、子供に向けて叫んだ。

 その声は子供に届いたようで、子供は止まった。―――横断歩道の真ん中で。

 それを認識した瞬間俺は、走り出していた。


「届けーーーーー!」


 俺は、そう叫びながら子供に向かって手を伸ばした。

 そして、子供のことを掴んだ瞬間に俺が走ってきた方向の歩道に突き飛ばした。

 子供は、ちょうど居合わせた通行人の人が受け止めてくれたみたいだ。

 だが、代わりに俺がトラックの目の前に飛び出てしまった。

 トラックも止まろうとしてるが間に合いそうもない。


(俺何してんだろ。見ず知らずの子供助けるのに自分が死んじゃうなんて。それに、告白の返事もしてないのに。俺が死んじゃったら2人は悲しむかな。悲しむだろうな。でも、新しい恋を探してほしいな。……ああ、死にたくないな)


―――紫倉楓しくらかえでは、その日死んだ。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 俺は、自分の意識が覚醒してくのを感じた。

 そして、程なくして俺は目覚めた。


(あれ?俺は、子供を助けようとしてトラックに引かれて死んだはずじゃ……?)


 目覚めた俺は、自分の意識がはっきりありまだ生きていた。

 そのことに疑問を抱いたが、自分の体に違和感を感じたから確認したら納得した。

 俺が確認するために自分の体に視線を向けたら、そこには赤ん・・・の手足が写ったのだ。


(……何が起こったかは理解した。あれだな。これは所謂転生ってやつだ。俺も好きでそういう内容の小説は読んでたけど、まさか自分が体験するとは思わなかったな)


 自分に何が起こったかを冷静に理解した俺は、こちらに向かってくる人たちがいることに気付いた。

 俺が気付いた時にはもうすでに近くまで来ており、その姿を見ることが出来た。

 俺の所に来たのは、1組の男女だった。

 その姿を見た瞬間俺は、この人たちが両親なんだと不思議と理解出来た。


「――――――」


 父が、俺に向かって声をかけた。

 何を言っているのかは分からなかったが、俺に対する親愛の情を感じられた。


「――――――」


 母も俺を寝ていたベットから抱き上げて声をかけてくれた。

 父と同じように母の言葉も分からなかったが、親愛の情はしっかりと感じとれた。

 俺は、今世の両親がこの人たちでよかったと思えた。


(前世では、親孝行出来ないで死んじゃったから今世ではこの両親に絶対親孝行してみせる!)


 両親の愛に応えられるように俺は、今世の目標を決め頑張ることを誓った。

 俺がそんなことを考えているとも思っていないだろう両親は、優しくあやしてくれていた。

 赤ん坊だからなのか、俺はだんだんと眠くなってきた。

 そして、程なくして俺は眠りについた。


―――まだこの時俺は、理解していなかった。自分の体に起こっていた異変に。

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