3-14 班員と昼食会をし、親睦を深めました
月曜の2限目は一般教養。と言っても雑学だな。月・水・金曜日の2限目がこの授業で週に3回もある。
俺的にはこの授業は好きになれそうだ。授業内容は毎回違うようで、今回は周辺の地理とこの国の歴史的なことを学ぶようだ。この授業の教師も5人ほどいて得意分野ごとに毎回違う先生が来るみたいだ。今週末の授業には冒険者ギルドから受付嬢がきて授業をすることになっている。学園生が卒業後に冒険者に成ることが多いからという理由らしい。
下級貴族の三男四男には土地も爵位もないので、長男が家督を継いだら残った者は何か他で職を探さないといけない。優秀なら騎士や文官として国や領地持ちの貴族に仕えることができるが、それ以外は冒険者や商人に成る者が多い。
俺は最上位貴族の子息なのでカイン兄さんが公爵家の家督を引き継いでも何らかの爵位をもらえる。
まぁ、爵位とか別に要らないけどね。冒険者でもヒーラーでも商人でも、幾らでも稼げる手段はある。
今日の昼食は班員を誘っている。ナナも自分たちの班員を別に誘うように言ってある。なのでナナとは今日のお昼は別だ。フィリアはこっちなので、一人はぐれたナナはちょっと不機嫌になったが、今後班員とは1年を共に過ごすのだ、早めに親睦を深め仲良くなった方が良い。
こういう班の親睦会とかは、上位の貴族の方から声を掛けるのがお決まりらしい。なので俺の方から招待した。
サリエには凄く怒られたけどね……食事の招待をするなら少なくても前日には言ってほしいそうだ。献立を考え食材を購入し、前の晩に下ごしらえをする必要があるのに、当日急に言われたら授業を抜けて準備をしないといけなくなると言って怒られたのだ。言われてからそりゃそうですねと気が付いた。
実はナビーが大量に先日購入した食材を使って、夜中に色々作って出来上がった料理が【インベントリ】に保管されているのだ。なのであまり考えず皆を誘ったのだが、侍女のサリエ的に考えれば調理はサリエの仕事なのだ。一声かける必要があったなと反省している。
今回はもう作ってあるからとサリエを説き伏せ、取り分けと配膳をやってもらうことにした。
昼食メニュー
・オーク肉のステーキ
・ポテトサラダ
・コンソメスープ
・パン
・ミックスジュース
・プリン
「「リューク様、凄く美味しいですわ!」」
「これは! これほどのものは初めてです……」
「はぁ~凄く美味しいです!」
この発言は双子のローレル姉妹、キリク、マームの順の発言だ。
そしてフィリアとサリエはと言うと……。
「「…………」」
なぜか無言で食べている。
「フィリア、サリエ? 美味しくないか?」
「いえ、凄く美味しいです」
「ん、凄く美味しい」
「なんかリアクション薄いなって思ってさ……」
「フィアンセとして、リューク様がこれほど美味しいものを作られると知ったので、ちょっと修行しないといけないかなって考えてしまって、そっちに思考がいってました」
「ん、同じ。侍女として主より美味しくないのはちょっと問題……」
あ~そういうことか。でも俺のはインチキだしな。スキルを創って無理やりレベルを上げて、料理の腕前は夜中に思念体たちが頑張って上げてくれるのだ。味覚は俺基準なので、万人が美味しいと言わないかもだけど【一流料理人】Lv10とかいうふざけたスキルで世界最高水準の料理が出されているのだ。美味しいのは当然だ。
サリエが少ししょげているから、フォローしておくかな。
『サリエ、これ例の僕のオリジナルスキルなんだ。【一流料理人】というスキルを創ったので後でコピーしてあげるね』
『ん、この美味しい料理もリューク様のスキル?』
『そうだよ。レシピは自分で開発しないといけないけど、作る物はレベル補正で感覚的に美味しい塩梅がわかるので、その感覚に従って作れば大抵美味しいものができるんだよ』
『ん、私もそのスキル欲しい!』
『じゃあ、今晩コピーしてあげるね』
『ん、嬉しい。ありがとう』
「このプリンというデザートは初めて食べましたが、とても美味しいです。これもリューク様がお作りになられたのですか?」
「うん。メイン通りの貴族街寄りに店舗を構えそのうち販売する事になってる物なんだけどね。500ジェニーぐらいでどうかな? 売れると思う?」
「「「売れます!」」」
女子は即答だった。500ジェニーなら売れそうだな。マームですら即答だった。
この辺でちょっと班員に自己紹介でもしてもらおうかな。
「さて、食休みも兼ねて簡単に自己紹介と得意スキルなんかを教えてもらおうかな? まずは僕から。リューク・B・フォレスト、15歳。魔法は全属性使えるけど、得意なのは水>風>聖>雷。特にヒール系の回復スキルは自信がある。それと個人香の効果にはリラックス効果・疲労回復効果・睡眠導入効果・HP・MP回復量上昇効果とかのパッシブ効果を持っている」
「「4つも個人香に効果があるのですか?」」
「ああ、サリエにも確か3つあったよ。じゃあ次はサリエにしようか」
「ん、サリエ・E・ウォーレル、15歳。私も全属性? 得意なのは多分、風>水>雷。個人香の効果にリラックス効果・疲労回復効果・睡眠導入効果があるみたい」
「あのウォーレルさん。?とか、多分とか、みたいと、なんだかあやふやなのは何故でしょう?」
「ん、魔法は最近覚えたばかりなので自信がない。それとサリエでいい」
「あ、言ってなかったね。これからは姓で呼ばないで名で呼ぶようにしてほしい。戦闘中は敬称もなしだ。僕も呼び捨てで指示を出すからそのつもりでいてね」
「あの、貴族様相手に私はできません! お許しください」
マームからすればちょっと名前呼びはきついのか。
「マームさん、そのうち授業でも習うと思いますが、これはパーティーの基本なんですよ」
「え? そうなのですか?」
双子の姉の方からフォローが入った。そのうちこの手のことは授業で習うらしい。俺は単にその方が良いと思っただけで、パーティーの基本というのは知らなかったけどね。だってパーティーを組めるほど友達や仲間がいなかったんだもん。
「伝達を少しでも早く行う為です。1秒を争うのに長い姓を使って敬称なんかで呼び合ってたら死に繋がることもあるそうですよ」
「なるほど……授業で習うなら仕方ないのですね」
「じゃあ、そのマームに次自己紹介してもらおうか」
「はい、マームです。農家の次女です。教会で魔法適性がとても高いと言われて、両親が家財を売って学園に入学させてくれました。適性のある魔法属性は土>水だとのことですが、生活魔法の【ライト】【アクア】【ファイア】の3つしかまだ使えません。個人香とかは調べたことがないので分かりません」
家財を売ってとか……そんな家庭の懐事情まで言わなくていいのに。
「マームはまだスキルなしか」
「ごめんなさい。少しだけ練習したのですが、素人の練習なのでやり方もさっぱり分からなくて1度も発動しませんでした。素人学習は危険だから止めなさいと神父様に怒られてからは練習もしていませんので……」
「そうだね、素人学習は危険だよ。後、謝る必要はないからね。これから少しずつ覚えていけばいい。それと個人香の効果は有用だから皆も一応調べておこうかな? 有用性は分かるよね?」
「ですがリューク様、個人香を調べられる所は王都でも数件しかなく、どこも予約で数カ月待ちだと聞いています」
「フィリアはそういうの詳しいの?」
「神殿でも個人香の効能は有用とされて研究がされています。ですが特殊なスキル持ちでないと調べられないとかで、あまり活用されていないのが現状だと神父様がおっしゃっていました」
「そうなんだ。まぁ僕がその特殊なスキルを持っているから、今回皆の個人香を鑑定するね」
鑑定法が匂いを嗅ぐと知った女性陣がちょっと嫌がったが、有用性は十分知ってたようで最終的には皆俺に匂いを嗅がせてくれた……役得です!
匂いを嗅ぎつつ皆にも順番に自己紹介をさせたのだが、メモに纏めるとこんな感じだ。
名前:リューク・B・フォレスト
年齢:15歳
種族レベル:29 1stジョブ:魔法剣士
身長・体重:163cm・51kg
個人属性:水>風>聖>雷
特徴:・銀髪で太陽光を通すとライトブルーに輝く
・肩まである髪を髪紐で後ろで一つに結わえている
・女顔で色白なのもあって、黙ってると少女とよく間違われる
個人香:・特殊ハーブ系アクアマリンの香り
・スカッと爽やかな、正に海風のような透明感のある香り
・リラックス効果・疲労回復効果・睡眠導入効果
HP、MP回復量上昇効果
名前:サリエ・E・ウォーレル
年齢:15歳
種族レベル:32 1stジョブ:魔法剣士 2nd:魔術師
身長・体重:130cm・30kg
個人属性:風>水>雷
特徴:・髪色はダークグリーンで黒髪にも見えるが太陽光を通すと
ライトグリーンに輝く
・ポニーテールにして肩甲骨あたりに垂らしているが
前髪でいつも顔は隠している
・エルフと人間のハーフエルフの母と、ドワーフとホビットのハーフの
父親の間で生まれたクオーターで身長や顔立ちに影響が出ている
・耳がエルフの様に少し長く尖っており、普段は前髪で隠しているが
エルフやホビットの様にとても可愛らしい顔をしている
まるで本当の妖精族のようだ
・種族特性と魔力操作の影響で成長が遅れ、
見た目10歳程度にしか見えない
個人香:・樹脂系ティートリーの香り
・フレッシュで清潔な感じの、やや鋭い香り
・リラックス効果・疲労回復効果・睡眠導入効果
名前:フィリア・E・ラッセル
年齢:15歳
種族レベル:18
身長・体重:156cm・44kg
個人属性:聖>水>風
特徴:・白に近い銀髪で太陽光を通すと淡いライトブルーに輝く
・ストレートで髪質は細く、腰の下あたりまである長髪でとても綺麗だ
・妖精・天使・清純・可憐・純潔という厳かな雰囲気をまとっている
・誰もが認める美少女で俺の知る限りでは一番可愛い
個人香:・ハーブ系マージョラムの香り
・温かみのある、かるくスパイシーな香り
・リラックス効果・精神安定効果・睡眠導入効果
フィリアの個人香は聖女と言うに相応しい効能があった。不安やストレスを感じるとき、悲しみや孤独に襲われたとき、リラックスしたいとき、グッスリと眠りたい夜に。ちゃんと婚約できたら、一度抱き枕にして寝たいものだ。ぐっすり眠れるのは間違いないだろう。
名前:チェシル・D・ローレル(姉)
年齢:16歳
種族レベル:21 1stジョブ:魔術師
身長・体重:163cm・46kg
個人属性:雷>火>風
特徴:・雷系に多い金髪で太陽光を通すと淡いライトピンクに輝く
・ストレートで肩甲骨程あたりの長さがあり、
ツインテールにしている事が多い
・一卵性双生児の姉の方で、可愛い系の美少女だ
・元気で明るい性格をしていて、いいムードメーカーになりそうだ
個人香:・柑橘系ベルガモットの香り
・フレッシュで爽やかなな香り
・リフレッシュ効果・リラックス効果・虫除け効果
名前:マシェリ・D・ローレル(妹)
年齢:16歳
種族レベル:21 1stジョブ:魔術師
身長・体重:163cm・47kg
個人属性:雷>風>水
特徴:・雷系に多い金髪で太陽光を通すと淡いライトピンクに輝く
・ストレートで肩甲骨あたりの長さがあり、
普段はポニーテールか後ろに一つに纏めている
・一卵性双生児の妹の方で、可愛い系の美少女だ
・姉より落ち着いており、お淑やかでおっとりした性格のようだ
個人香:・柑橘系スイートオレンジの香り
・柑橘の心地良い、リフレッシュさせる香り
・リフレッシュ効果・催眠導入効果
彼女たちはもうすぐ17歳になる。本来なら学年はひとつ上になるはずだったが、ナナの侍女になるべくして学年を合わせたようだ。だが可愛いからという不当な理由で、俺にあまり近寄らせたくないナナが彼女たちを侍女に選ばなかったのだ。
彼女たちは一卵性双生児の双子でそっくりだが、得意な魔法や個人香は両親の影響や性格のせいなのかは分からないがちょっと違うようだ。個人香で虫除けとか変わったものを姉の方が持っていた。妹のオレンジの香りは万人受けするような香りで俺もかなり好きな匂いだった。正直ずっと嗅いでいたい。
名前:キリク・E・チャーチル
年齢:16歳
種族レベル:24 1stジョブ:魔術師
身長・体重:174cm・59kg
個人属性:水>風>闇
特徴:・濃紺に近い色で太陽光を通すと奇麗な藍に輝く
・ストレートで適度にサイドを刈り上げていている
・執事教育を受けていて、背筋がいつも伸びていて佇まいがいつも優雅だ
・見た目からして知的そうで、結構なハンサム顔だ
個人香:・エキゾチック系ベチバーの香り
・スモーキーで深みのある香り
・ストレス解消効果・緊張緩和効果・気力回復効果
キリクはレアな闇属性持ちのようだ。髪は藍色、とても綺麗な色だ。俺より身長もあり、姿勢がいつも凛々しいので女子に持てそうな感じの奴だ。
名前:マーム
年齢:15歳
種族レベル:18
身長・体重:153cm・43kg
個人属性:土>水
特徴:・髪の色は栗毛色、太陽光に通してもあまり変わらないが優しい色合いだ
・肩ぐらいの長さで軽くウェーブが掛かっている
・愛嬌のある顔で、キョロキョロオドオドしたイメージがある
・凄くまじめで頑張り屋の様なので、班員皆で応援してあげたい
・農家の娘で生活資金が足らないそうなので、
定期的に稼がしてあげる必要がある
個人香:・スパイス系ブラックペッパーの香り
・鋭く、スパイシーな香り
・気力回復効果・ストレス解消効果・ダイエット効果
マームの個人香も変わり種のダイエット効果とかがあるみたいだ。匂いで痩せるとかではないようで、食欲不振や食べ過ぎなどを抑える効果があり、自然とダイエットに繋がるらしいのだ。
「全員の自己紹介も終えたけど、マームまで3つも個人香があったのには驚いたね」
「私もびっくりです。気力回復効果・ストレス解消効果・ダイエット効果とか3つとも使えそうな効果なので嬉しいです」
「そうだね。個人香の効能だけで就職できそうだよね。貴族のご婦人なんかがダイエット効果に飛びつきそうだよね」
「「「確かに」」」
「お話は変わりますが、リューク様。今日冒険者ギルドに授業が終わってから私も一緒に行くのですよね?」
「特に用がないのならマームにもきてもらうよ? 何か用があるのかな?」
「いえ。私は何もしてないのに本当にもらっていいものかと思いまして……」
「昨日も言ったけど、パーティーで行った場合はちゃんと配当は受け取らないといけないよ。今はまだ足手まといにしかなってないけど、見て学習するのも大事な事だからね。当分は血抜き作業の手伝いやウサギのような小さくて簡単な解体作業をやってもらうだけでいいからね。全く役に立ってないわけじゃないし、徐々にできることを増やしていけばいいよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「「リューク様たちは狩りに行かれたのですか?」」
「昨日街で偶然マームに会ってね。生活の足しに仕事を探しているとのことだったので、そのまま狩りに連れて行ったんだよ。アルバイトとかされても今後の活動で困るしね」
「そうですか。あの次回行く時は私たち姉妹も是非お誘いくださいまし」
「勿論そのつもりだよ。できれば月に1、2回は全員参加で日を合わせて行きたいと思っている。皆で行かない事には、レベル差が開いてしまうと、高レベル者との格差で参加していない者が足手まといになるからね。できるだけレベル差は開かないで同じくらいが理想だよね」
俺の意見にみな賛同してくれ、できるだけ参加するとのことだ。
ローレル姉妹がやたらと狩りに興味があるなと思っていたら、どうも訳有りのようだ。
とりあえず授業終了後に、班員全員でギルドに行くことになった。
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