これは予言ではない、確定した未来だ

仕事場にて。


「ん……」

大きいほうがもよおしてきた。まあ、人体としてなんらおかしくない生理現象だ。

エクセルの表作りに行き詰まっていたので、気晴らしもこめて席を立つ。


トイレへ向かいながら、そう言えば、そばにある給湯室に昨日洗ったお椀を置きっぱなしにしていたことを思い出す。

まあ、洗ったばかりのお椀を置き忘れた時点でADHD感が溢れかえっているけれど。

トイレに行くついでにお椀を回収しようと考える。

……そして同時に、「これ、忘れるパターンのやつだ」とも思う。だてにADHDと長年付き合ってるわけじゃないのだ。


忘れないように給湯室のドアを見ながら、でも一抹の不安もおぼえながらトイレへ。

そして個室に入りながら一仕事。

こういう時、なぜだか急にふと閃いたり思いついたりすることがありますよね。

「あ、あの表、あそこの数式間違ってんじゃない?」

この時もそうでした。

よし、戻ったら早速修正だ!


上機嫌で個室から出て手を洗浄。そして意気揚々として自分の席へ戻り、さて修正だ!


……慌てて席を立つ。

やっぱりだ!やっぱりお椀を忘れてしまった!



――この話のオチ。

慌てて給湯室に行った結果、お椀は給湯室にありませんでした。

じゃあ、どこに置いたのか。まったく覚えてません。

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