第12話 隠れ、そして…
2人は階段を下る。がむしゃらに走り続けて1階に着いた。それでも走る事をやめない。階段の曲がり角を曲がり昇降口のある廊下を2人は走る。走っている先に男子2人がこちらに向かって歩いて来ている。その男子生徒は亜希子と歩を見て、驚いていたが次第に2人を捕まえる準備をしていた。
亜希子が走りながら男子たちに近づく。そして右手に持っていた竹刀を思い切り頭に向けて振った。
「どーいーてー!!」
男子2人の頭に亜希子の振った竹刀が直撃する。パーンと2回音が鳴る。なかなかいい音だった。頭を抑え頭に痛みに苦しむ男子2人。廊下に寝転がりゴロゴロと動く。
亜希子と歩は室内用の靴に履き替える事なく校舎の外へと出る。2人が立ち止まり周りを見渡す。外には男子生徒が多くいた。運良く、2人が校舎から出て来ていた事は誰にも見つかっていない。2人は再び走り出す。まだ隠れる場所は決まっていない。
昇降口を後にし外を走る2人。この状況ではいつ男子生徒に見つかってもおかしくない。必死で走った。とにかく見つからないように必死に走った。
気がついたら体育館近くに2人は来ていた。外でなんとか男子生徒に見つかる事なく、体育館近くに来ていた。さすがにかなりの距離を走って2人は息が上がっていた。2人は体育館倉庫に隠れようと歩きながら決めていた。
曲がり角を慎重に覗き周りに男子生徒がいない事を確認する。足音を立てずに体育館入口へと向かう。そして体育館のドアを開ける。中には奇跡的に誰もいない。体育館の中を歩く2人。隠れているかもしれない男子に警戒しつつ体育館倉庫へと歩く。
体育館倉庫の前に立つ2人。鍵は掛かっていなかった。怪しい。ドアには窓がなく中の様子はわからない。もしかしたら隠れている人がいるかもしれない、そう思いながら体育館倉庫のドアを横に開けていく。ドアの動く音が体育館中に響く。中は真っ暗で、ドア近くにあったスイッチを歩が押し体育館倉庫が灯りに照らされる。誰も隠れていなかった。ドアを閉める歩。
「どこに隠れようかな…」
「来てわかったけど、隠れられるもの無いね」
体育館倉庫にはバレーボールとバスケットボールのボールの入ったカゴ、バスケットボールなどの試合で使用されるタイマー、跳び箱、マットなどがある。
―隠れられそうなもの……ボールカゴ…外から見えちゃう。マットの下?だめ盛り上がっちゃう。跳び箱……跳び箱?跳び箱の中って…
跳び箱を見続ける亜希子。跳び箱の中は空洞で、外からも見つかりにくい。動きさせしなければ最強の隠れ場所だ。
「歩ちゃん、跳び箱の中に隠れよっか。外からほとんど見えないしきっと見つからないよ」
跳び箱の最上段を叩きそう言う亜希子。歩もそれを聞き賛成した。2人は最上段とその下の2段を外す事にした。
最上段の部分だけ重かったが女子2人でなんとか外す事が出来た。地面に置き、入りやすいように段を外していく。
「思ったけど…どうやって1番上、乗せる?」
「あ…考えてなかった…けど頑張ればいけるでしょ」なんとなくでそう言った亜希子。
隣にもう1つの跳び箱がある。同じ高さだった。そこに2人で跳び箱の最上段部分を置く。
「歩ちゃん、先に中入ってもらっていい?」
「うん、わかった」
歩が跳び箱の中に入る。最上段部分を亜希子は押し、押している側と反対側を歩に持ってもらった。持ってもらっているうちに亜希子が急いで中に入り最上段部分を支える。そして2人でゆっくりと最上段部分をはめた。ようやく中に入る事が出来た。男子が来なかった事だけが幸いだった。
跳び箱内は2人分のスペースはあり余裕があった。2人は座る。ようやく、一息つけた。
「疲れたね…」
「うん…重いのはわかってたけどこんなに大変だなんて思ってなかった…」
2人は会話を続ける。そして風香の事を思い出す。
「風香ちゃん…今頃…」歩がつぶやく。
「仕方ないよ…私たちの事かばってくれたんだから。風香ちゃんの分も頑張ろ」
亜希子がそう言うと体育館倉庫の中、そして跳び箱の中は無音の空間が広がる。ただ2人の呼吸の音だけが聞こえた。
「ふぅ…ありがとな。風香。楽しませてもらったよ」良樹が哀れもない姿の風香を見てそう言う。風香の体に所々、3人の白濁液が付いている。
「ま、満足できたなら…いいけど…」
むせながら風香が言う。口からでた白濁液が床に流れ小さな溜まりが出来ていた。息遣いが荒い風香。かなりの時間3人にされていたらしい。
「純也、啓太。先に行ってくれないかな。ちょっと風香と話したい事があるんだ」良樹が2人を見てそう言う。
「ん。了解ー。また後でな」啓太がそう言い2人は部屋を後にした。ドアの閉まる音が聞こえ部屋は良樹と風香の2人きりになる。
「風香、立てるか?」良樹が言う。
風香がゆっくりと立ち上がる。そして良樹が風香に抱きついた。目を見開き驚いたいる風香。
「ごめんな…許してくれ。ルールだから仕方なかったんだよ。ごめん…」
「何…今頃そんな事言ってるの?別に3人が満足したならいいって言ってるじゃん…!謝らなくてもいいのに…ルールだし…」風香の目に涙が浮かぶ。そして涙が頬を伝う。
「まぁ…そうだけどさ。あー…ここで言うのもなんだけど。俺らもう一回やり直さねぇか?」良樹が言う。
風香の返事を待つ良樹。
「うん…!いいよ!けど、1つ約束して。もう人殺しなんかしないって。その事私も言わないから…!っていうか人殺し自体しちゃいけないんだけど…ね?約束してくれる?」
抱き合うのをやめ2人は向き合う。2人は笑顔になっている。
「あぁ…!約束するさ!」
2人は再び抱きつく。そして2人は熱いキスを交わした。
「はぁ、あいつらいい雰囲気になりやがって…リア充爆発しろ…!」啓太がドアに耳を当てそう言った。
2人は先に行っているように良樹に言われたが何かが起こりそうだと思いずっと中にいる2人のやり取りを聞いていた。2人はドアから耳を離し美術室を歩く。
「まぁ、俺らもいつかはなれるよ。その時までじっと待ってようぜ…」純也が言う。
「あー!彼女欲しいぃー!リア充になりてぇよぉ!!!」
啓太の悲痛な叫びが校舎中に響き渡る。
そして純也と啓太は校舎内を歩いて行く。
鬼ごっこ開始から、4時間半が経過しようとしている。
女子生徒、残り 171人。
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