第10話 危機再び
「なぁ、お前らヤれたか?」歩きながら良樹が2人に話しかけてくる。見た目からして人殺しをしそうな雰囲気ではない。
「さっきやっと1人ヤれたところだよ。1回、女子2人追い込んだんだけど別のやつが入って来ちゃってさ。ヤれなかった」啓太が頭を人差し指で指して「ここ」と言う。竹刀で叩かれたということを言った。
「……多分、風香だろ」ズボンのポケットからスマートフォンを取り出しいじる良樹。何をしているのかわからない。ゲームか誰かと連絡を取っているのだろう。
「そうそう!入って来た時、追い込んでた女子2人が「風香ちゃん!」って叫んでたもん」その事を思い出しそう言う啓太。良樹が「やっぱりな…」という顔をしている。
「あいつか…あいつの居場所なら多分わかるよ。それで、多分一緒に逃げた子たちもそこにいると思うよ」それを聞き2人は驚く。そして微笑む。3人の中で意見が一致した。その部屋へ行こう、と。
「どこなの?そこって」純也が聞く。
「美術室。後ろのあの部屋」
「え?後ろに部屋なんかあったっけ」
「あぁー…ほとんど使われてないよね」
「うん。多分あの部屋に風香とその友達がいると思うよ。行く?」微笑みながら良樹が言う。返事はもちろん決まってる。
「おう!行くとも!」2人が声を合わせそう言う。そして3人は4階の美術室へと向かって行った。
「はぁー…後5時間近くもあるじゃん…暇だね」亜希子がスマートフォンを使いながらそう言う。SNSで友人たちの状況を見ている。
「そうだね…何しようかー?」歩は部屋になぜかあった布団のようなものを床に敷き、寝転んで太陽光を浴びウトウトとしていた。
「ここでじっと待ってればいいと思うよ。5時間なんてあっという間だよ」竹刀を眺めながら風香が言う。
「そうしよっかー、私眠くなって来た…」あくびをする歩。亜希子と風香が寝そべって寝そうになっている歩を見る。そして2人は目を合わせニヤッとする。悪い事(2人にとっては良い事)をしようと考えていた。
男3人が階段を上る。女子3人はその事に気付いていない。3人が階段を上る音、そして廊下を歩く音がその階に響く。美術室のドアを純也が開ける。その音にも中にいる3人は気づかない。女子3人は中で歩の体をコチョコチョしていた。歩の笑い声が部屋に響く。
男子3人は部屋のドアの前に立っている。中からは笑い声。ここにいる。そう確信した男子3人。純也と啓太は緊張していたが良樹は緊張していないように見えた。他から見ると立てこもり犯と警察のような感じだ。
そして良樹が部屋のドアを3回ノックした。
「おーい、風香ー。中にいるんだろうー?」
そう聞いた。
亜希子が歩の脇を、風香が歩の胸を触る。歩は嫌がらずにそれを受け入れている。歩が笑う。それにつられ2人も笑う。なんだか楽しくなりもっとそれを強めた。
その時、部屋の外から誰かがノックする音が聞こえた。それを聞き3人は驚く。2人が歩の体から手を離しドアの方を見る。
「おーい、風香ー。中にいるんだろうー?」
外から男子のその声が聞こえた。亜希子と歩は聞き覚えがないが風香には聞き覚えがあった。
「…良樹だ…」と小声で呟く。深刻そうにドアの方を見ている風香。来てほしくない人がこの部屋に来てしまった。置いてあった竹刀に手を伸ばし手に取る風香。
良樹が鍵のかかっていない部屋のドアノブを回し男子3人は中に入る。
ドアノブが回す音が聞こえ、男子三男が中に入って来た。そして亜希子と歩は良樹の隣にいる人を知っている。化学準備室横の倉庫で襲って来た2人だった。3人に再び危機が迫る。
そして、良樹が、一言放つ。
「やっぱりここに居たか」
3人は恐怖に怯えながら入り口に立つ3人を見つめていたのだった。
女子生徒、残り 189人。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます