第7話 もしかして…
3人は化学準備室を後にし再び廊下を歩いている。亜希子と歩は脱がされかけていたブラジャーのホックを締めながら歩く。風香がいると安心感がある。そして3人は次の隠れ場所を探す。
「風香ちゃぁぁぁぁん!ありがとう、助けに来てからて…風香ちゃんが来てなかったら私たち今頃…」2人は男子に行為をさせられている事を想像する。そしてゾッとする。
「たまたま通りかかっただけだよ。逃げてる途中に倉庫から亜希の声が聞こえたから…入ってみたらその状況だったの。私も2人を救えてよかった!」男子たちに話していたのとは全く違う感じで話す風香。いろいろと表裏があるらしい。そのギャップも良い。胸もあるし。
「私たち終わったかと思った…まだ1時間ちょっとしか経ってないのに…」歩がつけていた腕時計を見る。3人は警戒しながら廊下を歩く。
「あ」と何かを思い出したかのように言う歩。
「亜希に聞くの忘れてた。亜希の好きな人ってだーれ?」歩が再び恋バナに戻す。それを聞き亜希子は驚く。みるみる顔が赤くなる。しかし風香は遠慮なく亜希子の好きな人を言ってしまう。
「亜希の好きな人って、純也でしょ?」と。
それ言われ、亜希子は声にならない声をあげる。顔が真っ赤になる。そして、歩にもバレてしまった。へぇ、とそんな顔をしている歩。
「あー…純也くんね。かっこいいもんね。きっとお似合いだよ。………ってさっきの部屋にいなかった?純也くん」倉庫で啓太が純也の名前を言っていたのを思い出す歩。亜希子は男子にばれてしまったことに驚いていて、聞いていなかった。
「え⁉︎い、いたの?…それ早く言ってよ…私そしたら喜んでヤったのに…」そう言う亜希子。自分でもなにを言っているのかわからない。
「「え、えぇ…」」とほぼ同時に言う風香と歩。若干引いている。
― 私変な事言った?
「べっ、別にそういう事するの大好きっていう意味じゃないからね⁉︎」と否定する亜希子。しかし2人はまだ疑っている。好きじゃないのに…
―確かに掃除用具入れに歩ちゃんと入ってて、おっぱい当たって女の子同士でもいいかななんて思ってたけど!!私そういう変な事するの嫌いだから!!あ、好きな人にされるのはいいんだけどね。
心の中で叫ぶ亜希子。
2人に届けばいいな、なんて思いながら3人は隠れ場所を探した。
「あー、マジいてぇ…あの女容赦ねぇな…」保健室で氷の入ったビニール袋もらい、竹刀の当てられた所に当てている。かなり痛そうだ。
「竹刀は痛いよな…」と同情する純也。
「あーあ。せっかくのチャンスだったのに。あの女め……」
「そういえば」と呟く純也。それを聞き啓太が純也の方を向く。
「そういえば…入ってきた女、あの2人の名前言ってたよな。確か…歩と…」
『亜希、歩。行くよ』
風香の声を思い出す純也。あの場所、そして啓太が相手をしていたのは純也の好きな人の亜希子だった。
「亜希子…さん」
「え⁉︎も、もしかして純也の相手したの歩ちゃん⁉︎」声を荒げ啓太が言う。いきなり大声出すな、びっくりするだろうが。
「そう…じゃないかな?」純也がそう返す。啓太は肩を落とし落ち込む。
「お、俺の好きな人…だったのに…って!お前歩ちゃんの、おっぱい触ったろ!」
「啓太だって、俺の好きな人の……あ」
―のおおお!言ってしまった!!1番言ってはいけない人に言ってしまった!!あぁ、終わった。啓太のいじりが始まる…はぁ…
「え、亜希子って人なの?純也の好きな人」
「まぁ…な。そうだよ」
「へー…あの子のおっぱい、かなり柔らかかったぞ?もう揉み具合がさぁ…」ニヤつきながら啓太が言う。
「お互い様だろう?」
「まぁそんな所だな。歩ちゃん…待っててね、今から迎えに行くからね…」小声で言う啓太。純也の耳にはちゃんとその事は耳に入っている。ここまで来ると気持ち悪い。ストーカーみたいだ。
2人は、別の女子を探しに廊下を歩いている。
鬼ごっこ開始から、2時間が経とうとしている。
女子生徒、残り 240人。
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