第4話 危機

亜希子と歩は校舎内を歩く。途中、校舎内に入って来た男子生徒たちに2人の存在がバレかけたがなんとかその場を乗り切った。


2人が階段を降り1階に向かう。亜希子が男子たちが来ていないか少しだけ顔を出し廊下を見る。ラッキーな事に男子たちはいない。小走りで階段を後にし廊下を歩く。



警戒しつつ、ある部屋の入り口に2人は来ている。そこはあまり授業等で使われていない化学準備室。その部屋の隣は倉庫として使われている。



「あ、あれ?鍵が…」ドアノブを持ち回そうとするが鍵がかかっていて開かない。ガチャガチャと音が響く。



「亜希子、ドアノブ壊しちゃえば?」歩か亜希子に言う。もちろんドアノブを壊す力は亜希子にはない。



「私そんな力ないよ!あゆちゃん、何かいい方法ない?」困り切った亜希子が泣きそうになりながら歩を見る。仕方ないなぁ…そんな声が聞こえそうな感じで歩がドアノブに近づく。そして、ポケットから針金のようなものを取り出した。なんで持ってるんだろ…この人。




「ピッキングして開けれるかもね…」歩がそう言い、針金を鍵の入れるところに入れ動かしている。


―この人ピッキングのプロなの⁉︎女の子だよね?ピッキングって男の子がやるものだと思ってたけど…けど、歩ちゃんがいるの何か安心できるかも。



そう思いながら歩がピッキングしているのを見ている。早くしなければ男子たちが来てしまう。その時、ドアノブから「カチャ」と音が鳴る。歩が針金をドアノブから離し地面に落とす。



「開いた…亜希、中入ろう。ここなら多分男子たち来ないよ」歩がドアノブを回し部屋のドアが開く。



「あ…うん。ありがと」2人が部屋の中に入る。のちのち、歩が落としたあの針金が2人をピンチへと招くのだった。






中に入り部屋の鍵を閉める。部屋は狭く、壁にもう1つのドアがある。そこは隣の倉庫の部屋に繋がるドアだった。2人はその部屋になぜかあったソファに座る。女子2人、密室。別の事が起こりそうな雰囲気である。




「なんで、歩ちゃんピッキングなんて出来るの?」ソファに座る歩に亜希子が聞く。


「1年の時に男子に教えてもらって。それからなんか出来るようになっちゃって…こんな形で使うとは思ってなったの」



「へ、へぇ…教えてもらったんだ…」亜希子が小声で言う。



2人はソファに座りながら話していた。


窓の外に、黒い影が来ている事を知らずに。













「なぁー!純也ー!好きな人教えろってー!」2人は校舎内に入り1階を歩いていた。



「後で教えるって。啓太こそ教えろよ」



「え?俺はあれだよ。同じクラスの歩ちゃん。あの子探して早くヤるんだ…」



「え?歩なの?あいつこの前誰かに告白されてるの見たけど…」告白はされていたが、歩がその男子を振ったことを知っていた。



「のおおおおおおお!!マジかよおおおおおお!お、俺の歩ちゃんが…もう誰かと…付き合ってるだなんて…」啓太が叫ぶ。



「だから、あいつは…」純也がそう言いかかるが啓太がまた叫ぶ。だから断ったって…






2人は1階の廊下を歩く。亜希子と歩が隠れているあの化学準備室前を通ろうとした時、化学準備室から声が聞こえてくる。啓太は足を止める。



「ん?今、中から声聞こえなかった?」



純也の耳にも聞こえていた。中からの声が。



「しかも…これ」啓太が廊下に落ちている針金を手に取る。



「中に、いるな」



2人がドアの前に立つ。



そして、啓太がピッキングを始めた。






女子生徒、残り 292人。

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