この世界に祝福は・・・?
幸運なちょむすけ
1章 祝福の始まり
EP1-幸運を司る女神様
その日。
俺はある人に呼び出され少し離れた喫茶店へと向かった。家をでる時、アクアに私、お昼頃ウィズのお店行こうと思うんだけど、カズマさんも来る?と聞かれたが丁重にお断りをした。
なぜなら今日は–––
「–––ねぇ、
今、俺たちはいつもの喫茶店で次の神器の話をしていたところ、お
「ちょっとお聞きしたいんですが、お頭はアンデッドや悪魔について、どう思いま「滅びれば良いと思うよ。と言うか、どうしたのさ、突然そんなこと聞いて。」」
だめだ。これはだめだ。笑顔で即答するあたり洒落になっていない。
「教えるぶんにはいいんですが、その店で働いてるバイトの人とアクアが凄く仲が悪いんですよ。なので、お頭も、もしかしたら・・・と思いまして。」
「えーと、違ってたらごめんね。そのバイトの人ってカラススレイヤーの人だよね。なんで、先輩がその人と仲が悪いのかよく分からないけど、良い人そうに見えたよ?」
どうしよう。クリスの状態なら女神パワーもきっとないだろうからバニルにも気づかれないのか。なら平気なのか。いや、でもな...考えても仕方がないか。
「いいですよ。じゃあ、今度連れて行きますね。」
「ほんとに!?ありがと!いやー、やっぱ口に布を当てるだけじゃ不安でさ。仮面あれば目も隠せてカッコいいかな!ってずっと思ってたんだよ。あ、だからって仮面盗賊団にはしないからね。じゃあ、どうしよっか!助手君の予定に極力合わせるようにするから、空いてる日教えてよ!」
どうしよう。すごくテンションが上がってきてる。なにこれ可愛い。最近は、めぐみんが思わせぶりな態度取るし、ダクネスも誘ってきてるんだけど、やっぱ真のヒロインはエリス様で決まりだな。うん、決まりだ。そうと決まったら・・・
「お頭、今すぐ行きましょう。なんなら先にお役所に寄ってからでも、十分時間はありますよ。なにせあそこのお店は、商談事は24時間ですからね。」
「え、うん?ありが・・とう。・・・? え、助手君なんて言った?役所?ごめんね。話が見えてこないんだけど。」
「大丈夫ですよ。お頭はとりあえずここにサインしてください。詳しくはあとで説明するので。」
「えーと、ここでいいのかな? はい、クリスと。んーと何なに住所?
––––・・・カズマさん、女神をからかいすぎると天罰与えますよ?」
冗談はこのくらいにして、俺はすぐに席を立ちそれはまぁ見事なDOGEZAを敢行した。周りの人が注目しようが構わない。エリス様の天罰は、なんちゃって女神とは比にならない。
「ちょっと、そこまでしなくていいよ!気をつけてくれればいいから。 いや、あの、違うんです。彼が勘違いをしてしまっただけで。」
可哀想に彼は振られたんだな。と、辺りが注目しだし、慌てて周りのお客さんに顔を真っ赤にして必死に弁明をする姿は、もはやクリスだかエリス様だかわからなくなっていた。
「ねぇ、助手君からもなんか言ってよ。変な勘違いされちゃってるじゃん。」
その後は、好機と見た俺がすみません振られてしまいました。と辺りに言うと、涙目になりながらエリス様が殴りかかってきた。高レベルになったからか、それともクリスの力が弱いのか、全然痛くない。ハッハッハ、なんだなんだ戯れてきているのか。
◆◆◆
「–––もうっ、もうっ。あのお店お気に入りだったのに。」
ウィズの店へと向かう途中、隣で涙目になりながらも付いて来るエリス様ことクリス。
あの後、急激な腹痛に襲われ慌ててトイレに駆け込んだら故障中の貼り紙。。女神パワーなのかわからないが、改めて天罰の恐ろしさを実感した。もういじめるのはよそう。
雑談をしつつ、ウィズの店へと到着したところで、
「やや、ここ最近やたらと周りから誘われてるのに、一歩前に踏み出すことが出来ずにいる冒険者ではないか。どうした。店主なら奥でお陀仏リッチーと化してるので、用があるのなら出直してくれると助かるのだが。」
どうやら暇なのか、お店の前にほうきを持って立っているカラススレイヤーがいた。
「おい、俺の私生活に口を出すな。と言うかなんで知ってるんだよ。今日は、ウィズじゃなくてお前に用があるんだ、あの仮面が欲しくてな。とりあえず邪魔するぞ。」
この悪魔が言うことは無視して店内へと進んだところで、カウンターにバニルがつき、近くのテーブルに俺とクリスが向き合うようにして座る。
「ほぅ、巷で大人気のバニラ仮面とな。またどうして。いや、全然構わないのだが。ふむ・・・ちょっと待て、近くにトイレの女神がいたりするか。なんだかチカチカするのだが。」
確かに、ウィズの店に行くと言っていたが、辺りを見てもアクアの姿はない。まさか、クリスに反応してるのか。いや違うな。クリスは全然気づいてなさそうだ。
「いや、今日はいないぞ。」
「ふむ、我輩の見通す力を遮るほどの力を持つものなどそうはいないはずなのだが、はて、どうしたものか、もしかして、貴様の隣にいるその小僧の力がすごいのか。」
「・・・ん?あ、あたし?」
あ、やばい。サラッと地雷を踏んだぞ、この悪魔。どうしよう横からすごい視線感じる。嫌だな。すごく嫌だな。この後の展開が俺にも見通せそうだよ。
「ねぇ、助手君、小僧ってもしかしてあたしのこと・・・なのかな。違うよね。うん、そうだよね。」
そんなことを言いながら、クリスが頬を手でかきながら、辺りをキョロキョロしつつ必死に誰かを探してる。
お頭、無駄ですよ。この店には俺とクリス。そして奥のウィズしかいませんよ。
「やや、これは失敬。我輩としたことが性別が違ったのか。 –––お、これはなかなかの悪感情。」
帰りたい。なんなのこいつは。地雷とわかったのに、地雷地帯をさらに進んできたよ。
「カズマさん・・・」
「はい!なんでしょうか!」
「わたしって男の子に見えるんでしょうか。ボーイッシュなだけですよね。。。」
いつの間にかエリス様の口調になってるあたり、相当応えてそうだ。このままではいけない。
これは何とかして話題を変えないと。そうだ、仮面の話だ、そこからウィズの赤字生産の話をすれば完璧だ!
「そう言えば、お頭!
–––––「ウィズー!遊びに来たわよー、あれ?カズマさんにクリスじゃない。 2人してどったの? しかもこの仮面悪魔となにやってたの。 もしかして
空気を読まないことに定評のある、トイレの神様が降臨してしまった。悪魔とか言っちゃってるし、どうしてこいつはこんなタイミングで来ちゃったの。もうやだ、今日は帰ろう。
「じゃあ、ちょっと俺、用事思い出したから、日を改めて来るよ。」
素早く席を立ち、足早にその場を立ち去ろうとするも、もちろん、そんな言い訳は通用するわけがなく。お頭が神妙な面持ちをして、
「ねぇ助手君、今アクアさんが悪魔って言ってたんだけど気のせいかな。どこにいる?早く殺さないと。」
なんなの、女神ってみんなこうなの。
そこらの悪魔より物騒じゃないですか。
笑顔の下には殺人鬼でも飼ってるんじゃないのか。
「気のせいですよ。どうしたんですか頭でもぶつけましたか?」
そんなことを言ってると、アクアがムッとした顔でこちらへズカズカと近づいてくる?
「ちょっと、カズマさん。嘘はいけないと思うの。仮にもクリスとわたしは、前にアンデッドは滅びればいいのに。って言い合った仲なのよ。そんなクリスに、嘘はいけないと思うの。よく聞くのよクリス。この仮面は悪魔よ悪魔。すぐに嘘をつく悪魔よ!」
また余計なことを言いやがった。
そろそろまずいな。
「おい、うるさいぞ。静かにしろ。」
俺は後ろから剣の柄でアクアの頭をどついた。
「ちょっ、助手君!?」
俺の正義の鉄槌が、女神の頭をクリーンヒットした。
ちょっとスッキリしたのは、内緒にしておこう。
「ねぇ。カズマさん。痛いんですけど。私まだ悪いことしてないのに殴られたんですけど。謝って!殴ってすいませんでしたアクア様。って謝って!」
「すまん。手が滑った。てか、おい、今まだって言ったか。」
「言ってない。」
「・・・・・」
今度は何したんだ。考えても仕方がない。今はこの場を最優先させよう。
とりあえず、これはもうダメだ、クリスには白状しよう。後でごめんなさい。しよう。
これから起こるであろう展開に嫌気をさしながらも俺はその場にいることを決意した。
「言ってくれるではないか自称トイレの女神よ。学び舎からの見送りや、カラススレイヤーバニルさんなどと、近所の方から評判の吾輩に向かって良い度胸だ。見通す悪魔バニルが宣言しよう。我輩と貴様どちらが人気か調査すれば貴様には一票も集まらないであろう。」
「ふん。見通す女神アクアが宣言するわ。汝、毎日汗水たらして稼ごうが次の日には一文無しになるであろう。そうなる前にアクシズ教に寄進するが吉。どう?当たってるでしょ!」
「バニラ式殺人光線!」
「甘いわ!リフレクト!」
「うぉっ、あぶなっ。」
シャレにならん。おれとクリスはこんなのくらったらひとたまりも無い。と言うか間違いなく死ぬ。
「おい、アクア。大人しくしたら今日はお酒を買ってやるぞ。」
とりあえず、こいつを大人しくさせよう。そうすればなんとかなるはずだ。
「良い心がけね。でも、ダメよ。アクシズ教の教えにはね『悪魔殺すべし』『魔王しばくばし』って言う教えがあってね。ここでやめたら教えに背くことになるわ!そんなことしたら私の信者たちに顔向けできなくなるわ!」
女神らしいことを言ってるはずなのに、どうしてだろうこの気持ちは。イラっとしかしない。
「そうか、わかった。お前の今日の晩ご飯はふりかけな。」
言うことを聞かない子には、お仕置きが必要だ。これは日本にいた頃、嫌という程聞かされた理不尽極まりない教えだ。
「私はごめんなさいが出来る子良い子よ。そんなことは許されないわよ。そんなことしたら聖なる拳がカズマさんにいくわよ。いいのね。クリスもそう思うわよね。」
カエルにも通用しないそんな拳が俺に効くか。
クリスに同意求めても無駄だぞ。
「え。わ、わたし? う、うん。確かに悪魔は滅びれば良いと思うけど。その、、バイトの方は悪魔なの?」
やっぱりクリスの状態じゃ、わからないのか。これは一つ良い情報が知れた気がするな。つまりサキュバスのお姉さんの敵ではないという事か。
「ふむ。我輩の事を知らぬとは。どれここは一つ占ってしんぜよう。と思ったが、貴様なぜ眩しいのだ。只でさえ、なんちゃって女神のせいで眩しくて叶わんのだが。
貴様何者だ?」
おぉ、さすが見通す悪魔だな。確信はつけずともクリスを疑うあたり、やっぱりその力は本物なんだな。
「貴様、本当に男ではないのか?」
「助手君!この人失礼だよ!天罰下ればいいのに!なんなのさ本当にもうっ。」
お頭がプリプリと怒りだした。
怒ってるのだろうけど、可愛い。
ずっと見ていたい。
「ねぇねぇ、カズマさん、カズマさん。」
「はい、カズマです。」
「うん、わかったわ。それよりカズマさん。」
「カズマだよ。」
「あんたもしつこいわね。あのクリスって子、天罰とか言ってたけど何か力持ってるの?盗賊じゃなかったの?」
こういうところ、こいつ意外とするどいよな。普段からこのするどさを発揮してほしいものなんだが。
「それは、もちろんクリスはヒロインであって天使だからな。」
俺は知力が低いアクアにもわかるようそれはもう完璧な回答をした。つもりだったのな、
「・・・? セイクリッドヒール!」
「おい、なんでヒールかけた。」
「カズマさんが頭を打ったのかと思って。」
この女神をとっちめてやる。俺は魔力の限りスティールを行使した。あわよくばその羽衣を売っぱらう気持ちでスティールの限りを尽くした。
「・・・ぐすっ。うぐっ。カジュマしゃん、私ごめんなさい沢山したのに。カジュマさんが、カジュマさんが、うぁあああああぁぁぁあん。」
そんなこんなで、かれこれ数十分は経つであろうか。
魔力に限界が見えた為、スティールをやめ、実力行使に出たところでアクアが泣き出し、クリスがずっと慰めてあげる展開になっている。
「あ〜あぁ、良し良し、先輩は悪くないですから。泣かないでください。」
アクアにもすごく優しく、この世界においてはクリスって唯一の良心だよな、感心しながらその状況を見ていると、
「領主がいなくなったことで鬼畜なことに関しては他の追随を許さななったお主よ。さすがの我輩でも引くのだが。」
なにこれ、いつの間にか俺が悪者に変わってる。
気づけば俺の周りには、アクアの靴下、ビー玉、よくわからん植物の種。グラスなど、どこぞの四次元ポケットの如く宴会小道具を出してきたせいで結局、羽衣は取れなかった。
「先輩、泣きやんでくれませんか。アクア先輩が悲しんでるのを見るのは心が痛むのですが。ほら悪魔を倒そうと頑張ってたんですから悪いことはしてないですよ。」
いつまで経っても泣き止まず、号泣してるからか、クリスもいつの間にか、先輩を宥める姿勢へと変わり始めてきている。と言うか、見た目は違うが中身がまんま、エリス様だぞ、大丈夫なのかこれは。
案の定、俺の心配は的中した。
「だってエリス、カジュマさんが、カジュマさんが私のこと、私のことを穀潰しの駄女神って言ったのよぉ。」
アクアもアクアで、いつの間にか、エリスに慰められてると勘違いし始めているようで、クリスではなく、アリスと読んでしまっている。
「カズマさんは、本当相変わらずですよね。アクア先輩をあまり虐めないであげてくださいよね。」
あ、アウトだ。ポロリだこれは。エリス様?出ては行けないところが出てしまっていますよ。
うん。何かがおかしい。なんでエリス様?
クリスだよな。うん、あの胸はクリスだ。間違いない。
これはどうするべきか。
教えた方がいいのか?と悩んでいると。
「フハハハハハッ!これはまたどうして。少し見ぬ間にどうしてこんな面白い展開になるのだろうか。本当貴様の周りは退屈せんな!どうりで見通せないわけだ!」
もうやだ。お家帰りたい。
見通す悪魔様ぱねぇっす。
ついに言い逃れ出来ないとこまで来てしまっている。
そんなことをバニルが言うものだから、アクアもついにはこんなことを言いだしてしまっている。
「・・・あなたエリスなの? 確かに瞳の色と髪の色は同じよね。 どことなく口調も似てるし。 と言うか、なんで私のこと先輩って呼ぶの?」
「え、やだなー。クリスだよ。エ、エエリス様と間違えるなんて失礼だよ、、」
もうやめてあげて。クリスのHPは0だよ。自分で自分のことをエリス様なんて呼ぶなんて、残酷すぎる。
「我輩としたことが、確かにそうかもしれないな。こんなところに女神がいるわけがないのは当然か。我輩のたしかな情報では、なんとエリスとやらは、大層スタイルが良く女神という名に相応しき姿をしているらしいぞ。」
煽っていくスタイルですね。
わかります。
でも今はやめてあげてください。
お願いします。
何か買いますから。ほんと。
「え!ホントですか!?スタイルが良いってどなたが言ってましたか?是非ともその方にお会いして、祈りを捧げさせてください!」
「まあ、嘘である。」
お頭・・・ちょろすぎないか。テンパってるとは言え、悪魔に手玉にされる女神って。あの人本当に幸運を司る女神なのだろうか。
幸運になりたい女神の間違いじゃないのかこれは。
「フハハハハッ、これまた悪感情美味である。まだ昼過ぎだというのに今日1日が大変有意義なものになったぞ。感謝するぞ自称女神達よ。では、我輩これから奥で焦げている店主のためにタンパク質を買いに行かねばならぬので失礼する。」
もう見通す悪魔様こえぇ。クリスが顔を覆って崩れちゃってるよ。おい、アクアやめろ。クリスを突くな。ほっといてやれ。
「ねぇ、カズマさん。私この子の事、放っておけないから家に連れて帰っても良いかしら?」
もはやもぬけの殻と化したクリスは、何をしても微動だにしなくなってる。と言うか、本当にもぬけの殻なんじゃないのか。
「まあ、ここに置いてもあれだしな。とりあえず連れて帰るか。」
「そうと決まったら、カズマ!ジャンケンよ!荷物ジャンケンよ!負けた方がこの子を家まで持って帰るのよ!」
おい、そんなこと言ってると天罰下るぞ。
当然ながら、俺は手ぶらで家へと向かった。
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