第10話 10月11日 「壁のへこみ」
十月十一日
真の様子は、ますます酷くなる一方です。常に苛々しているみたいで、部屋の床や壁をドンと鳴らすようになりました。朝夜かまわずに、です。きっと昼間も叩いているのでしょう。台所の壁にへこみが出来てましたから。深夜になると、玄関をこっそり開けて外出しています。
「どこに行ってるの」と尋ねたのですが、無視されました。こっそり後をつけてみたら、ランニングをしているみたいです。急に全速力で走ったかと思えば、息を切らして道路わきの草むらに転がる。また起き上がる。メチャクチャな走りです。
恐らくあの子も苦しんでいるのでしょう。トンネルの出口はもうすぐなんだ。そう自分に言い聞かせています。かしこ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます