1幕 2章 1話 嵐のような1日が。
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いつも通りの朝。
のんびりと歩道橋を渡る。
イヤホンから流れる音楽もバラードに切り替わったため、余計に歩くスピードが遅くなる。
その影響か、はたまた元からかわからないが、
バス待ちには結構な人数が並んでいた。
しかし、見覚えのある人たちが前の方に並んでる。
今日も早いなー。
朝早くからご苦労様です。そしてありがとう。
心の中で感謝しながら、彼女達に近づく。
私に気づいていない、私に背を向けている彼女に話しかけた。
「おはよ。」
「わっ!!!」
急に話しかけたからか、彼女はびっくりしていた。
その声に私まで少し驚いた。
「‥‥そんなに驚かなくてもよくない?」
私は少し冷たく言い放った。
「ごめん‥気づかなかったから‥」
「ふーん‥」
これが私、瀬戸綾花による、足立亜美への対応だ。
対応というか‥態度というか‥
あみに対する受け答えが冷たいのはいつものことだ。
いつも人の機嫌を伺って、喜ぶ対応を多くする、そんな見え透いた対応にたまにイラっとくる。
今も即座に謝ったのも、これ以上機嫌を損ねないためだろう。
なので、私は少し機嫌を悪くした、フリをしてみた。
すると、あみは、やっちまった、という顔をした。
その反応が‥‥少し面白くも感じる。
もちろんあみは何も悪くない。
ただその反応とか冷たくするのが、私のストレス解消というか‥‥反動でもあるのだ。
それは‥‥
「りょーか!!!おはよー!!!」
空知加奈子が私に飛びついてきた。
私は逃げることもなく、その飛びつきを受けた。
きたよ。くうこが。
くうこはなぜかわからないけど、私にだけスキンシップが多い。
抱きついたり、肩によっかかれたり‥‥。
最初の頃は何とも感じてなかったが、
今となっては、面倒くさい。
だが、これで拒否すると、それはそれで面倒くさくなるのと、慣れてしまったこともあり、最近はやられることすべてになんの反応もせず受け入れることにした。
「あー‥おはよ。」
とは思っても面倒くさいというのが隠せず思わずダルそうな返事をしてしまった。
「わあ〜今日もくっつくねえ」
「‥‥ねー」
2人の声がする。
「ねえねえ!今日の課題やった!?」
そんな2人の声を御構い無しにくうこは私にしゃべりかける。
2人を話しに入れる気はないのか、私の方をずっと向いてる。
「やったよー。」
「あれ、本当意味わからなかった!なんなの?あんなの興味ないっつーの!」
私のダルそうな返事なんて気にせず喋り続ける。
この子の愚痴は少し‥‥というか大分面倒。
基本的に面倒くさがりな私にとっては苦痛だ。
「難しかったよねー。内容」
返答を考えるのも面倒になり適当になる。
「なんか無駄に時間かかって辛かったー‥‥。りょーかword何枚書いた?」
「あー‥。3枚くらい?かな。」
「やっぱりそんなもんだよねー!」
くうこの包囲が強すぎて2人に話しかける余裕がない。
結局バスがくるまでくうこと2人だけで話していた。
バスが到着して、くうこから順にバスに乗り始める。
適当な座席に座った飯田莉奈の隣に座る。
「ふう‥」
くうこの包囲から解放された安堵からか、ため息が出た。
「りょーかおはよ〜!さっき挨拶しそびれちゃった。」
ちゃんりながいつもの明るい口調で話しかけた。
「おはよー。」
「今日はいい天気ですね〜。雲一つないよ〜。」
「ねー!朝起きて天気良かったから洗濯してきた!」
「洗濯〜!今日は洗濯物がよく乾きそうね〜!」
「でも帰るの夜だから洗濯物冷たくなってそう」
「それは‥‥仕方ないね‥」
ちゃんりなと話すことは世間話。
家であったこと、最近あった面白い話、さまざまだ。
ちゃんりなはよく私に、
最近面白いことありました〜?や、
休みの間なにしてた〜?
私に話を振ることが多い。
人に話を振ることが少し苦手な私にとってはちゃんりなとの会話はラクだ。
私に話す内容が無くてもちゃんりなから、
昨日こんなことがあって〜、
今度ここに行くんだ〜、
と広がる話を振ってくれる。
‥‥くうこと違うところは愚痴が出てこないところだ。
愚痴や不満が出てこないだけで、こんなに気分が軽いものはない。
ちゃんりなとの会話は、非常にラク。
「学校ついた〜!」
ちゃんりながリュックを背負いなおしバスを降りる。
今日も1日が始まる。
嵐のような1日が、また始まる。
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