戦士すみれ

プロローグ

世の中を悪から守る戦士もの、戦隊もの。

幼少期の自分はそんなアニメや漫画や本ばかり見ていた。

中学生とか高校生とかそんな大人になったら私も世界を守るために戦士となって戦いたい、そんな強い女性になりたい、と。

だから、小さいころに聞かれた将来の夢とかは全て「地球を守る戦士になりたい」って書いてあるし、幼稚園ではおままごとの代わりに戦士ごっこをしたし、小学校では自作のステッキなんかを作って変身ごっこをしたりしていた。

早く大人になりたい、大人になったらあのアニメみたいなかっこいいことができるんだ。突然目の前に敵が現れても、変身して戦って敵を倒す。そんな能力が与えられる。特別な存在になれるんだ。

そして小学校を卒業して、中学校を卒業して、高校も卒業した。

昔の自分に一言言いたい。

君は馬鹿なんじゃないの、と。

アニメみたいなことが現実に起こるハズがないのに。

私の中学時代も、高校時代も、アニメの主人公はおろか脇役にさえなれないぐらい、つまらない時間だった。

ドキドキすることも、わくわくすることも、何もなかった。

私はもう、現実世界に憧れを持つことも、自分に都合の良い空想をすることもやめた。

世界を、諦めた。

そして、大学生最後の夏が終わろうとしていた−