夜更けのクライマー

大和ミズン

用語解説

用語集 ムーブ・ホールド・ホールディング

クライミングのムーブについての解説です。文字上では非常に分かりづらいため、動画や画像等を見ていただく事をオススメします。




*ムーブ


ダイアゴナル……フリークライミングで、最も基本的なムーブの一つです。伸ばす腕と反対の足を、腕と対角線になるように伸ばして、次手を取る動きです。右手を出したい場合なら、重心の下か左側を右足で踏んで出したときは、大体ダイアゴナルと言います。ジムでボルダリングを始めたばかりならば、このムーブさえ有ればどうにかなるので、是非覚えたいです。


正対……初心者が、初めてクライミングをしたら、この動きになります。基本的には、体の前面、もしくは足の内側を、壁に向けて登る事を言うと思います。(上に挙げた、ダイアゴナルの場合には、体が横を向きます。)このムーブは実は結構難しく、中級者でやっとこさ使えるかな、という感じです。ですが、スラブや垂壁では必須な場面が多く、初心者を抜け出したい方は、足先や肩の力を意識して、積極的に覚えて欲しいです。初級者から抜け出せない女性は、苦手な事が多い気がします。


フラッギング……出したい手と同じ側の足を、反対に流してバランスを取るムーブです。足を内側と外側、どちらから送るかで、インサイドフラッギングやアウトサイドフラッギングと呼びます。中級者必須ムーブで、足の入れ替えが減らせるだけでなく、高い位置に足を置けたり、体を安定させられたりと、出来る幅が広がります。特に、トラバースなんかでは、役立つ事間違いなし。アップ等で、ダイアゴナルの代わりに使ったりすると、覚えやすと思います。これも、初級者から抜け出せない女性が、苦手な気がします。


キョン(ドロップニー)……両足を広げて、出したい手と、同じ側の膝を、内側に曲げて、安定させる動きです。両足でホールドを張れるため、体を安定させたり、重心を上げたり出来ます。また、ダイアゴナルやフラッギングを使うよりも、遥かに小さい力で、次手に行けます。反面、そもそもキョンが出来る状況が限られていたり、体の硬い人(特に男性)がやると膝や腿裏を怪我しやすいと言います。そのため、女性の方が積極的に使うことが多いです。因みに、私が一番好きなムーブで、キョンラーを自称しております。


クロス……腕をクロスして、逆側に次手を取りに行くことを言います。基本的には、逆の手の上を通すことが多いですが、下を通す場合も有ります。引きつける筋力が居るため、これも苦手な女性が多い!でも、鍛えればちゃんと出来る様になります。


マッチ……同じホールドを両手で持つこと。大きく無いホールドの場合、指の太い男性の方が苦手で、子供や女性の方がよくやります。


プッシュ……ホールドの上に腕を突っ張って、体を押し上げること。この状態に持っていくことを、プッシュに返す、と言います。私はこのムーブの途中で落下して、棘下筋(肩の筋肉の一部)を断裂しました。でも結構好きです。


デッドポイント……腕の力で体を引き付けて、体が宙に浮いている内に、次手を出すこと。


ランジ(ダイノ)……上にジャンプして、片手でホールドのを取りに行くこと。両手の場合はダブルダイノと言います。好きな方はとことん好き。止めた瞬間の気持ち良さは圧倒的。派手なムーブなので、コンペでも必ず有ります。恐怖心がある方も、やはり多いです。


サイファー……フラッギングでのランジ?諸説ありますが、そう言われる事が多いです。バリエーションも多いですが、カンテ沿いで、最も力を発揮します。ベン・ムーンの初登した課題、Cypher(四段+、8b、V13)から。


ヒールフック……踵をホールドに掛けること。体を引き付けたり、安定させたりと、応用が効きます。後述の手に足で使われる事が多いです。


トウフック……足の甲部分を、ホールドに掛けること。ルーフで多用されます。また、凸角やカンテ沿いでも、体が壁から剥がれないように、よく使います。


手に足……手で持っているホールドに、足を乗せること。垂壁とスラブでは、プッシュしながらも多いです。また、前述のヒールフックと共に使う手に足ヒールは、あらゆる壁の形状で効果を発揮し、距離を出せる、中級くらいから出始めるムーブ。上級者には必須です。私の好きなムーブその2。体の硬い人は苦手ですが、男性でも得意な人は多いです。寧ろ、足に力を乗せられないないで、上手く出来ない女性も。


マントル、マントリング……リップから、岩の上に立ち上がること。マントルを返す、と使います。人工壁でも、似たムーブの場合はマントル課題と呼ばれて、設定される事があります。


レイバック……横を向き、手は内側に引いて、足を壁やホールドの側面に押し付けて、体を安定させること。割れ目クラックの登攀や、カンテの登攀で多様されます。


ステミング……両手両足を、岩に張って、順番に上げることで上に行くこと。凹角やチムニー(体が入るぐらい大きいクラック)で使います。


キャンパ……足を使わず、腕だけで登ること。指を鍛えるためのトレーニング器具、キャンパシングボードから。


ニーバー……足先と膝を、壁の形状やホールドに嵌め込んで固定すること。上手くすれば両手を離して休めます。




*ホールドの形状


ガバ……ガバっと持てるホールド。つまり指を曲げて持てるホールド。因みに、指の第二関節に出来るタコの事をガバダコと呼んだり呼ばなかったり。


カチ……カチっと持つホールド。指先だけを置いて持つホールド。普通カチ持ちしますが、オープンでも持つ猛者も。浅指屈筋強すぎです。


アンダー……下から持つホールド。持ったら、何としても立ち上がるべし。


ポケット……穴状のホールドのこと。指の負荷が半端ないです。私はポケットのせいでよく怪我をするので嫌いです。


スローパー……丸みを帯びたホールドのこと。後述のパーミングという持ち方を使います。ランジで止めたときは最高に気持ちいいです。スローパーは肩で持とう!



外傾ホールド……手前に傾いたホールドのこと。滑って全然持てません。フリクションを持つべし。


ピンチホールド……親指で挟んで持つホールド。保持力がすごく持ってかれます。リードで出てくると泣きます。でも止めると気持ちい。




*ホールディング(持ち方)


オープン……掌を壁に向けて、上からホールドを持つこと。基本の持ち方。第二関節を伸ばしてのオープンを多用する方は、浅指屈筋が強い筈。


カチ(クリンプ)……指先をホールドに掛けた時に、上から親指を巻き込んで持つこと。カチで持つことをカチる、カチが好きな人のことはカチラー。薄いカチホールドの持ち方ですか、結構応用が効きます。私のみたいな手汗がやばい人間は、すぐカチっちゃいます。


ピンチ…親指でホールドを挟んで持つこと。


ガストン……親指を下に向けて持つこと。伝説のクライミングガイド、ガストン・レビュファの写真の手の向きから、こう呼ばれます。


ラップ……掌を横に向けてホールドを持つこと。腕を曲げるときは、オープンで持つよりも持ちやすいため、腕を伸ばして登れない初心者がよくやりがち。掌を外側に向けてラップ持ちすることを、ラップを返す、と言います。ものすごい距離が出ますが、使いこなすにはコツが必要。


パーミング……掌と指を広げて持つこと。大きいスローパーの持ち方。


プッシュ……手指をホールドに押し付けて、持つこと。ホールドの下から押し付けることを、アンダープッシュと呼んだりします。


ジャミング……クラックに指や手や足などをねじ込んで持つこと。フィンガージャム、ハンドジャム、フィストジャム、シンハンド、フットジャムなど様々。痛いです。


俵持ち……ポケットなどで、指の上に指(人差し指の上に中指など)を乗せて持つ持ち方。

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