第4話 チュートリアルを受けよう1

さて、戻って参りました冒険者ギルド。

うぅ~、少し恥ずかしいです。それもこれも、調子良く冒険へ駆り立ててくれた受付嬢さんが悪いんです!!

……八つ当たりですね、スミマセン。

そんなわけで(どんな訳だ?)、先ほどの受付嬢さんの所に並びます。


「あら、アリア様。もう薬草を取ってこられたのですか?だとしたら、ギルド史上始まって以来の最速依頼達成ですよ!!」

これは、嫌みなんだろうか?

あ、被害妄想ですか、はい、了解です。

「え~っとですね、依頼はまだです。あの、チュートリアルを受けさせて頂きたくて!!」

そう言った瞬間、コチラをパチクリと見つめる受付嬢さん。ジッと見つめ合うこと数秒間、受付嬢さんが上機嫌に喋り出した!!

「あらあら、まぁまぁ。チュートリアルを希望されるんですね!!いや~、他の冒険者さんに幾らオススメしても、そんなのやってられるかっておっしゃるばかりで……。では、今すぐにでも訓練場へ。教官達は全員空いているので、よりどりみどりですよ~。」

物凄い勢いでセールストークをしてくる受付嬢さん。若干、怖いです。

「それでは、ご案内致しますね。あ、申し遅れました、私はイリスと申します。これからもよろしくお願い致しますね!!」

上機嫌にニコニコ笑いながら、私を案内してくれる受付嬢さん改めイリスさん。

そのまま、私は屋内運動場みたいな場所に連れて行かれた。


「みなさ~ん、新しい冒険者さんがいらっしゃいましたよ~。」

広い訓練場には、案山子みたいな木や的、鎧兜を着せられた人型の置物など、色々あった。そして、コチラに続々と集まってくる人達。きっと、さっきイリスさんが言っていた教官達なんだろうね!!

「おう、イリスちゃん。その子が新しい冒険者かい?」

いかにも熟練ですといった風貌の方が声を掛けてきました。スキンヘッドに目元の傷なんて、威圧感バリバリです。夜道で会ったら、速攻で逃げ出す自信があります!!

「はい、バリドさん。此方はアリアさんです。メインは旗槍だそうですよ?」

「ほう、今時旗槍使うとは根性あるな~。おっしゃっ、槍は俺の領分だからな。任せとけ!!」

「はい、丁寧に教えてあげて下さいね。アリアさんは、初心者さんですので。あと、召喚術についてもお願いしたいのですが…」

「そりゃ、もちろんだ。召喚術なら、プラフタに任せれば大丈夫だろ。おい、プラフタ。」

「聞こえてるわよ。召喚術の基礎からで良いのかしら?実践は……ここじゃ無理ね。」

私の個人情報が漏れていく…。いやまぁ、ここにいらっしゃるのは、私以外NPCなので問題ないのですけどね。それにしても、本人を介さずに進んでいく、私育成計画。よっぽどプレイヤーが来なかったんだろうなぁ~、そして、よっぽど教えたかったんだろうなぁ~。あ、プラフタさんは金髪で青い眼の眼鏡を掛けた女性です。トンガリ魔女帽子にローブといかにも魔女って感じの人ですね。若干、気怠そうにしているのも、妙に艶やかです!!

「そんじゃあ、嬢ちゃん。いやアリアだったか?槍の練習を始めるぞ。」

ハッ!!

現実(?)からフラリと離れていたら、いつの間にやら、私育成計画が始まってました。強面のバリドさんが、手に訓練用の木槍を持って手招きしてます。

………が、がんばろう……。

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