なぜ?

「自分の名前はエルダー……そして貴方は女神ハンナ様‼︎」



そうだ!なぜ忘れていた?自分は……とある世界の……



……勇者だ‼︎




だが依然、自分がどうしてこんな場所でこんな状況になっているのかは思い出せない。



というよりは、そもそもここへ来るまでの記憶がないのかもしれない。




なぜなら……




「自分は確かあの時……なのにどうしてこんな場所に?」





「あぁ、思い出してくれましたか!(言葉遣いが元に戻っしまったのは惜しいですが……)よかった!でもせめて名前は呼び捨てでとお願いしたハズです。」



今結構真剣な話し中なのに呼び方の指摘とは、相変わらずマイペースですね……、




「そうでした。女神ハンナ、ところで……何か縮みました?」



せっかくなのでこちらも気になっていたことを聞いてみる。



自分の記憶上の女神と、今目の前にいる女神を名乗る女の子とが、とても同一人物と思えないくらい見た目が違うことに戸惑うからだ。




「ええ、実は色々ありまして……」



「色々とは?それに一体どうして自分はこのような場所にいるのでしょうか?自分は確か旅の途中で、アレに遭遇して……」



自分の記憶が確かなら……





「あの時……自分は死んだはずです。」



そうだ、



自分は確かあの時、




「ええ、あなたはあの時の戦いで……」



女神は悔しそうな、そして申し訳なさそうな表情で告げる。



「あなたは、死んでしまいました。」



自分は、死んだ。



アレに、殺されたのだ。




「そう……ですか。」




「でも安心して下さい‼︎確かに肉体は死にましたが、精神は、今こうして生きています!」



そうか、今自分は精神体だけなのか、



そしておそらく今自分を閉じ込めているこの透明な壁は自分の精神を留めておくためのもの、ここから出たら消えてしまうというのはそういう意味だったのか、



ところで、


「私が縮んだ理由、ですね。」



そこでなぜか女神の表情に影が射す。



「ええ、それを説明するにはあなたにとって非常に苦しい話をしなければなりません」



ん?女神の背が縮んだことと、今の自分にとって苦しい話が関係あるのか?



なんだ?それは?



「そう……それはあの時……」



女神は告げる。





……最悪の事態を、




「あなたが死んだ戦いの後、全てが終わってしまったのです。」

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