駄作。あるいは当てれぬ未来予知

宇曽井 誠

プロローグ

 手元の紙を見て、青年は肩を落とした。

 全く理解できない、と言いたそうに紙を引きちぎり、金髪の男を見る。

「イツさん。シャングリラって…なんですか?」

「何度も説明してるだろ」

 イツは無造作に伸ばされた自分の髪の毛を触りつつ、蒼い空を見上げる。

「危ねぇ組織。お前がそれを崩壊するのが、今回の命令だ。報酬はいつもの倍」

 不安そうな青年の頭に手を置き、数度叩く。

「俺はもう大人です」と言うが、彼はやめようとしない。面白そうに、愛おしそうに。カラスの濡れ羽色の髪を撫でていた。

「……死ぬなよ?」

「分かってますから」

 手を払い、黒いロングコートをなびかせてその場を立ち去る。



 彼の名はフユト。誇り高き暗殺一族の一人であり、一族の復興を願う者。


 クリック、クラック。

 さてはて。どんな物語になるのだろうかね。

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