第37話 確定ではない
「ふむ……」
ミカゲは全員の画面を見ながら、なにか色々と考えている。まさかまだ二日酔いじゃないよね?
戦略のほうはミカゲがなにやら考えているので、任せることにした。元野球部部長だったし、チームワークや相性の良さなどきちんと見ながらやるだろうし。
俺? 俺は個人戦な剣道だから、そういうのは向いてない。
ということで、この田舎村の状況についての考察をしてみることにした。
今まで深くかんがえていなかったのもあるけれど。
まず、勇者だのなんだのってのは俺たちの周りだけで、俺たちが村民の目の前からいなくなれば、耳鳴りが起きている人以外は通常の生活が出来ている。だから混乱も少ない。
そして、村長主導でロールプレイングゲームをしますよーって告知しているのも大きいな。
大きな都市と違い、小さな規模で人数も少ない田舎村なら、あまり反対意見も出なかっただろう。馬鹿げてる、だなんて逆らえば耳鳴りだもんね。
つまり、田舎ファンタジアに反対してた人ほど、この村おこしに乗らなくちゃいけなくなった。
……うまい仕組みになっている。
そして、呪いの存在。これは俺の先祖も関係していると魔王は言っていた。
うちの母さんに聞いてみたけど、嫁いできた身だからわからないそうだ。なので、今度の休日、父さんが戻ってくるので聞いてみることにしてある。
もしも呪いだけが発動して、俺が勇者にならなかった場合には、奇妙な病気として田舎村は大騒ぎになっていただろう。でも、村おこしということで村内に告知があったから、そこまでの混乱は起きていない。
で、俺の先祖と関わりのある村長に近い人物が、黒幕、つまり魔王だ。
呪いの線からみて、村長も裏で糸を引いているかもしくは、魔王。
村長が先導でこの企画を行っている。
そして俺たちの活躍をネットなどでばら撒き、そういうことが出来る村ですよーと客寄せ。ダンジョンのような施設を建設するにしても、有名になったあとだと予算が下りやすいだろうし、村民の反発も防げる。
……耳鳴りで。
まだ俺の父さんからの情報が足りないので、村長=魔王と結論付けるのは早計だが、一番違和感なくこの状況が説明できるとしたら、それしかない。
全ての話が今のようにうまくまわるというなら、現状では村長が魔王だ。
……でもなー、ヨネばあちゃんを崖から落として怪我、とか村長はするだろうか。あれって村の行事での事故っぽい感じだよね。村長にとっては不祥事に近いことなんじゃないのかな。
うんうん唸っている俺に、ミカゲはタフマンをプレゼントしてくれた。
タフなマンにはなりたくないので、と一回は断ったが、そればかりじゃねーから! いいから飲めっ! と言われて、無理やり飲まされた。
少しだけ、煮えた頭が回転するような気がしてきた。鼻血も出たけど。
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