第19話 残業の限界
残業をやるなら、徹夜も辞さない覚悟で挑んだ、初出勤日の初残業。
だが、その終わりはすぐだった。
「あの、外に人もモンスターも誰もいません」
俺たちが最後のモンスターさんをたけのヤリで叩き、戦闘が終わった直後あかねんが言った。
時計を見ると夜の8時すぎ。効率を求めて俺の家の近くの唯一のコンビニの前で、モンスターさんを待ち構えて一網打尽にする構えで戦闘をしてきたが、やっぱりここは田舎であり、8時にはコンビニも閉まったので、光源は通りの外灯だけになり、あたりには誰もいなかった。
「……しょうがない、レベルあげはこのへんで終了かな」
「そうですね、残念だけど」
最後にアプリでステータスを確認しようと思い俺は田舎ファンタジアを起動したら、アプリの画面が出る前にエラーメッセージが出た。
『このアプリは午前8時~午後17時までしか起動できません』
えええ、更新されなくても、ステータス画面だけは表示できるんじゃないの?
妙にお役所仕事だなぁ、こういうのは。
まあ占い師のみよちゃんが言っていた通り、メールで確認をするなら、人がいなくなった段階で俺たちも撤収しないと、メールの送る中の人も俺たち同様に残業だろうし、一旦ここで全員解散することにし、明日はまた役場に集合することにした。
「え、て、テントで1泊するんじゃないんですか?」
「そうそう、勇者御一行ならテントですよっ!」
いやあのさ、俺んちすぐ近くだし、戦闘で割と汗かいて臭いし、リクルートスーツは鼻水まみれだし、色々とこう、整えてきたいのよ。それにやっぱり、ちゃんと自分のベッドで寝たいし。
そんな切実たる俺の願いは、俺のがんばりによって達成された。
なんとかあかねんとタローを帰宅させることに成功したのだ。あかねんは最後まで俺んちに泊まるとかうるさく言ってたけど、会って1日目で泊めるとかないでしょ。
「おはようございます」
地域協力隊を預かる部署は企画観光課。主に観光地を推進したり、村作りを行ったりするような課である。その中でも俺たちは、村作り重視の部署で活動する予定である。はずだった。
企画観光課の隅っこに俺たちのデスクが3こ、ちんまりとした島に配置されていた。そこはまだがらんどうであったが、それぞれのデスクの上に作業着と腕章が置いてあった。腕章には『村作り応援団』と書いてある。
「ああ、その腕章。装備していくのよ? 勇者」
占い師のみよちゃんは企画観光課であった。俺たちのデスクから、割りと近くにみよちゃんが座っている。
「オッケー、わかりました、みよちゃん」
「なっ……!!!!!!」
やばい、みよちゃん赤面してかわいいぞ。うちのねーちゃんより、美人だしからかいがいがあることが判明したので、これからもちょくちょくからかっていこうと思った。
そんな俺の行動を、タローはジトーっとした目で見ていた。あかねんに関しては、俺の二の腕を激しくつねっている。痛いよ、ダメージ受けてHP減ったよ。
みよちゃんにはよ外回りしてこい、と俺たちは役場を追い出されるように、外回りを命じられたので、外へでることにした。
途中、光あれおっさんのところによって、10回は光あれしてもらったけど。
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