田舎ファンタジア

東江 怜

ごっこ編

第1話 帰郷

 俺は、鈴成和哉すずなりかずや

 大学を卒業し、自分の田舎に就職が決まった。


 ま、最初から大学のある都会にはいまいち馴染めなく、夏休みなどの長期休暇にはちょくちょく実家に戻っていたから文句はない。


 ランクの低い大学だったからなのか、「マジウケル」だの妙にキャラキャラした女共とそんな女に合わせたチャラい男共のうようよいる大学では、仲のいい人が誰も居なかったのだ。

 ああいや、一人だけ、メガネを掛けて普段はあまり話さないが、ゲームのことになるとやたらと饒舌になる友達はいた。そいつに付き合って普段はゲームやバイトなどに明け暮れていたけど、その友達はずっとゲームの話ばかりするため、さすがに長い休みの期間に会うのは辛かった。だからよく自分の田舎に帰省してたと思う。


 そのついでに、合わない都会より自分の田舎で落ち着いて就職したほうがいいという結論はすぐに出た。落ちぶれたとかそういう気持ちはまったくなかった。


 そして無事公務員、いや、田舎村の地域協力隊とかいう職に就いた。嘱託職員ではあるが、永年雇用だし、ボーナスも微々たるものは出るらしい。勤務先は実家から車で10分のところにある、田舎村役場である。

 一応就職活動中は、田舎へ帰るタイミングが色々合わなかったので、今回、実家に帰るのは一年ぶりである。就職面接等は、田舎村のある県全体で行っていた上に、スケジュールがわりかしタイトで、実家に戻る余裕がなかったのだ。



 今まで住んでいたアパートを引き払い、唯一の友達に「これから帰郷する」とメッセージを送った。返事は明日中ぐらいまでには帰ってくるだろう。



 そして、俺は田舎村への帰路についた。

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