EP 1



わたしの幼少期はとてもやんちゃだった。


「美蘭!早く着替えないと幼稚園バス

遅れちゃうでしょ!!」


ママに言われて急いで支度する。

美蘭というのはわたしの名前だ。

美しく、そして蘭の花言葉

幸福が舞い降りてきますように。

と名付けられたらしい。


「んあー、、、」

眠い目をこすりながら幼稚園バスに

乗った。

「美蘭ちゃん おはようっ」

「今日も眠そうだね」

この2人は 真美ちゃんと健くん。


わたしの家は集合住宅で、

そのご近所、、というか同じ団地に住む

同い年の子たちだ。


親同士も仲が良く、よく3人で

遊んでいた。


幼稚園では、クラスが別々で

それぞれ友達がいたため園内で話すことは

少なかったけれど、、、。


わたしは外で遊ぶのが大好きで

女の子たちがおままごとをしてるのに

どうもついて行けなかったため

男の子といるほうが多かった。

また、ゲームが好きでもあった。

家で遊ぶ時は、だいたいゲーム。


おかげで、お弁当の時間は

いつも男の子に囲まれていた。


「美蘭の家ゲームたくさんだよなー。」

「あっスマブラしようぜ今度」


そんな会話ばかりしていた。



幼稚園時代あるあるなのが、

かっこいい子、話しやすい子、

運動できる子ってのはモテる。

果たしてモテると本当にいっていいのか

よくわからないけど。


「美蘭ちゃん!私 ゆうたくんが好きなの。

仲、、、いいよね?」

なんてよく言われたものだ。


この時から 嫉妬 みたいなものがあるみたいで、

女の子に嫌われたりもした。

これが今どきの子ってやつか、こわいなあ。


男の子2人と幼稚園を抜け出したこともあった。

お泊まり会の日だったかな。

ものすごく怒られたけど。


なによりこのころの忘れられない、

今でも笑えてくる思い出は、

休み時間に鉄棒して わたしが倒れた時だ。


休み時間は外に出なくちゃと思っていたのか

体調が優れないのに逆上がりをしに1人で

走っていった。だけど、一回遊んだところで

どうもふらふらする。なんだこれ。

今日も教室に戻ろう。そう思った時だった。


廊下で倒れてしまった。

うっすら目を開けると隣で

同じように横になってる男の子がいる。


その時は頭が働かなかったので

何も思わなかったが、今思い返すと

とてもシュールだ。

廊下で2人で横になっているのだから。

そしてこの子は体調悪くなかったようで

一体なんの遊びだったのだろうか。



わたしは教室に連れていかれ熱を計られ

みんなが集まってきて、おでこを触っては

「すごい!あっつい!!」

とはしゃいでいた。

いやいや見せものじゃないんだから、、。


この後はよく覚えていない。

起きたら保健室にいたことぐらいしか。


インフルエンザだったはずだ。

わたしは人生でこの一度しかインフルエンザに

かかったことはない。

しかも かかった理由が 予防接種をしたからだ。


インフルエンザの予防接種は

軽く菌を入れ、わからない程度に

インフルエンザにかける。

それでインフルエンザに

対する抗体ができて、かかりにくく

するものらしい。

本来、微量の菌のため、症状が

出ることはあまりないのだが、

体が弱かったので、たった少しの菌で

わたしはインフルエンザにかかってしまった。



大きな病気はそれくらいで、

あとは平穏な幼稚園生活を

送ったのだ。平穏に。平穏に、、、、。




いや、この頃から本当は

平穏なんてなかったのかもしれない。


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