私立嵯峨あらしやま女子学園中・高等学校軟式野球部!
いちたろうざむらい!
第1話 まずは、部活作成です
「おはよう!」
教室の扉を、開けた瞬間そう言われた。入学して間もない、この時期に誰だろう。同じ中学校の子は、クラスが違うし、まず、そんなこと言うわけがない。そう思いながら、声のする方を、見えるとおそらくこのクラスで一番かわいいだろうと男子の間で噂されている、学文路あゆみちゃんだった。自分より可愛いと思われていることに関しては、すこし不平を感じるが、しかし、彼女のくるりとなったツインテールと小さくて細い体を見ると、かわいい!!と言わざるを得ない。
「あのー、味坂さんって、吹奏楽部に入りたいのですか?」
「う、うん。ちょっとアニメとかそんなんに影響されちゃってさ、やってみたいなって思って、吹部っていうか、トランペットを」
「ああーー、確かに、その気持ちわかります。かっこいいですよね、トランペット。私も中学は吹奏楽部だったんですけど、一年のときに、トランペットになれなくて、ずっとパーカスやっていました。うらやましかったけど・・・」
「へえーー、ホンマにあるんや。好きな楽器やれへんことって」
「大アリですよ。というか、私達の高校は、わからないですけど、殆どの学校がそのような状態ですよ」
「そっかー、さすが体育会系文化部やな。ところで、あゆみちゃんは、部活は何をやるつもりなん?」
「そうですね。実は、現存はしていないのですが、六年コースの子で小学校が一緒だった子達と、軟式野球部を作ろうと思っているです」
「ええっ、マジで。そんなんやるやったら、葵も入りたいな」
「いいですよ。その代わり、もう少し部員が必要なので、何人か紹介していただきたいですが・・・」
「OK!!それなら、葵は何したらええの?」
「そうですね。まず、六年コースの子たちに会いに行きましょうか。今日は、写真撮影と特別選抜クラスの交流会で、午前で授業は終了ですし、放課後アポとっても大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。めっちゃ楽しみやな」
校舎のすぐそばに咲く桜の花が風に吹かれてうずまきながら空へ舞い上がり、飛んでいる。早く放課後になって欲しいという一心で、葵は部員探しに教室を飛び出していった。「どこへ行くのですか?」というあゆみの言葉に、返事をすることもなく。
しかし、一人残されたあゆみの顔には、確かな自信と喜びがあふれていた。
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