第2話

愛とはなんだろうか。

そんなことを思ったことがある。

それは、中学校での弁論大会。

1人のクラスメイトの女の子がみんなの前に立った。

マイクから聞こえる女の子の声は、少し作ったように聞こえた。

彼女の弁論の題名は、『愛とお金』と題されていた。

内容は、生きる上でどちらが大切かを問われた弁論だった。

彼女はお金が大切だと言った。

汚いかもしれない。

でも、僕は正しいと思った。少なくとも、汚いとは思わなかった。

大人は言う。綺麗事を。

挨拶は気持ちいいと言われても、そんなことを感じたことはない。

声が小さければ、何度もやり直させられる。

強制的にやらされて気持ちいいと思うわけがない。

僕は、そんな大人の言葉を信じなかった。

逆に、彼女のように汚くとも現実を書いたものを信じるようになった。

綺麗事だけでは、綺麗にはなれない。

汚いと認め、綺麗になるように努力しなければ、綺麗になんてなれない。


そう考えていた。

あの頃の僕は、どこまで行っても幼かった。

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