革命の火種③

『斑鳩ちゃん、どうするんやこれから』


「ん〜所持金なし。あるのは剣だけだな。傭兵業でもやるか。あとちゃん付けするな」


指揮官が行動不能になった軍は徐々に敵に押されていたが、相手も攻めきれないと踏んだのか、決着がつかないまま自然に終わっていった。


『それでもええんやけどさ。そんなことより街に入った時から思っとた事なんやけど、この街の人は角があったり羽が生えてたりしている種族ばかりで奇妙やね』


「そうだな」


今後の方針を決める為に街をふらふら彷徨っていると、後ろから大声が聞こえてくる。


「あぁぁー!」


声が飛んで来た方向を見ると、黒い羽の生えた少女に指をさされていた。

自分の後ろを見て、誰も居ないことを確認する。


「面倒だな。逃げるか」


逃げようと周りを見回したが、逃げた方が面倒になりそうな為、諦めて捕まる事にした。


「探したのだぞ」


「誰だ」


『んや、知らへんねえ』


「忘れたのか……この私を忘れたと」


少女が肩を震わして俯く。


「寒いのか」


『帰れるに八万賭けるわ。てか帰りたいからそれ以外には賭けへん』


「この少女を連行しろ」


低い声で羽の生えた少女が言う。


「はいハズレー。後でアイスね」


『いや、囲まれとるし、帰る方法考えろや』


「無理っぽいぞ」


腰にロープを巻かれて、手首もぐるぐる巻きにされる。

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