絶対に知ってはいけない秘密

木沢 真流

第1話 一人目の行方不明者

「おい俺はもう駄目だ、ついに秘密を知ってしまった……」

「は? 何の事だ?」

「……」

 安田は黙ってしまった。

「おい、何の事だ、って言ってんだ」

「すまんがここでは言えない。どうしても知りたいっていうのなら今日の昼、じっくりと話してやるよ」


 それが私が安田と最後に交わした言葉だった。


 確かに、会社のオフィス、しかも何十人もの社員が働く中で大事な話など出来るわけがない。普段の私ならばきっと、明日になってそんな安田の言葉などすっかり忘れてしまっているに違いなかった。


 ——しかし今回はそうはいかなかった。


 結局その日の昼、安田はつかまらなかった。

 それだけではない、午後も無断で欠勤し、それから次の日、そしてのその次の日もやはり安田は姿を現さなかった。


 ひょっとしたら安田は誰かに「消された」のではないか?


 私はそう思うようになった。

 そうなると私はいよいよ、安田の言っていた「秘密」が気になりだした。

 国家機密? ヤクザの闘争? それとも宇宙の秘密を知る鍵?

 私にそんな事を知る由もなかった。

 しかしある日、私にその秘密を知るチャンスが訪れる。

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