Re-51

あっしの名前はRe-51あーるいー ごじゅういちでやんす。


Dr.モンクに造っていただいた"ペンギン"でやんす。


昨日はある大学の先生に取材をさせていただきやした。


昨日は大変でやした。


あっしが取材させていただいている先生は建築学科で教鞭きょうべんをとっておられやす。


先生は建築の中でも環境設備の分野でご活躍されているお方で、暖かい、寒いなどの人間が感じる温冷感おんれいかんやエネルギー消費量、次世代建築設備などの研究をされておりやす。


あっしは地球に降り立ってから先生とは長いお付き合いをさせていただいておりやす。

昨日は建築と人間の関係性について興味深いお話をいただいたので、それをここでご紹介させていただけたらと思っておりやす。


先生が行った実験の中に集合住宅、つまりマンションにおける暖房エネルギーと断熱材に関する研究がございやす。


マンションでは同じ暖房機器を同じ時間使用しても住戸の位置によってエネルギー消費量は異なりやす。過去の統計やシミュレーションによって外気に接触している面が多ければその分熱損失が起きることが分かっておりやす。


その上で先生はマンションにおける最適な暖房と断熱の組み合わせを見つける実験を行ったそうでやんす。


実験結果として、一番効果が高かった組み合わせ、つまり一番省エネルギーを達成したのが住戸の位置を問わず、暖房機器の違いに関係なく、外気に接触している面(天井や壁や窓)だけを断熱して住戸間(上下左右)の断熱は必要ないというものだったそうでやんす。これは当然のように聞こえるかもしれませんが、実際に実験をしてそれを証明した人は今までにおりやせんでした。


ただしこれは全住戸が同じ時間に暖房運転を行っていることが前提にあり、つまりお互いが暖め合っている状態では外気接触面の断熱だけで良いということでやした。


先生は、実際にはみんなが同じ時間帯に暖房を行うことは難しいけれども、この実験結果はとても面白いと話されておりやした。


それはその実験結果を人間関係に当てはめることができるからだそうでやんす。


つまり、この実験結果は人間が他人と心を暖め合うことで一番省エネルギーを達成できることを指しているからだそうでやんす。そしてマンションと同様に、その暖かさを外に逃がさないようにしなくてはいけないとおっしゃっておりやした。


一方、隣の住戸が暖房を行っていない場合は住戸間の断熱はある程度の効果があるという結果も得られておりやす。それを人間に当てはめると周りに冷たい人(嫌な人)がいた場合、冷気が伝わらないように自らの心に断熱材を張ることが効果的だと言えるのだそうでやんす。ある程度でもそれが省エネルギーと言えるとおっしゃっておりやした。


また捉え方を変えると暖房を行っていない住戸(空室の意味を含みやす)、つまり心が冷えてしまっている人(心が空っぽの人)がいた場合、周りの人がその心を暖めることが効果的であるともおっしゃっておりやした。


あっしは先生に、

「分野は違えど根本は共通しており、一つの視点でものごとを見ず、あらゆる視点でものごとを見ることが大事だ」

と教えていただきやした。


あっしはこれからも先生の取材を続けていきたいと思っておりやす。


あっしの名前はRe-51でやんす。


今日は京都の町を偵察しておりやす。

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