引き継がれる想い

僕の名前は堺真さかいまこと


ペンギン調査団の一人だ。


昨日は宇宙工学の第一人者であるジェームズとそのアシスタントのサラと一緒にタイムマシン談義をした。


昨日は大変だった。


僕は現在ペンギン調査団で宇宙工学の専門家として雇われている。


同時に僕は長年タイムマシンの研究に携わってきており、ジェームズとは彼の講演会をきっかけに出会った。僕たちは同じ夢を持ち、互いにタイムマシンに対する想いを語り合った。打ち解けるのに時間はかからなかった。その後僕たちはチームとして一緒に研究を続けてきた。


二人であーでもない、こーでもないと議論し合ってきてあと一歩というところまで来ていた。


たった1つのシンプルなアイディアで全てが解決することがある。そのたった1つが僕たちにはずっと分からないままでいた。


僕たちは自分たちの力の限界を感じ、このまま続けても意味がないと判断した。そしてこれからの若い研究者たちに問題の解決を託すことにした。きっとその若者たちがこのタイムマシンを完成させてくれる。そういった人物が必ず現れる。


無責任に聞こえるかもしれないが、僕たちは次の世代に自分たちの夢を託すという選択をした。その代わりに僕たちは彼らのためにできるだけ環境や制度を整え、彼らがのびのびと研究ができるように尽力した。


優れていなくてもいい。タイムマシンじゃなくてもいい。熱意のある子は無条件で受け入れ、僕たちの知識と経験を惜しみなく提供した。


彼らがいつか、この世界を良い方向に変えていってくれることを願って。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る