僕の名前は

僕の名前は一樹と言います。


○×町に住んでいる小学生です。


昨日は友達の家で自由研究をしました。


昨日は大変でした。


学校が夏休みに入ったものの、勉強に、プールに、自由研究に、遊びに、僕ら小学生は大忙しです。お盆には家族でおばあちゃんの家に帰省もします。普段から行っている自分の実験や研究もやらなくてはなりません。


例年ならそんな夏休みを過ごし、また新しい学期に向かっていくのですが、今年は違います。


僕はジョージョと過ごした日々を忘れることができません。


夏休みも一緒に遊んだり、実験を手伝ってもらったり、僕の観察を手伝ってあげたりといろんなことを予定していましたが、ジョージョは突然いなくなってしまいました。


僕がここまで執着するのには理由があります。


ジョージョが黙って僕の元を去ることがどうしても納得できないのです。


家族はそうでもないみたいですが、腑に落ちません。


僕は夏休みの自由研究を突然消えたジョージョの探索にすることにしました。そうすることでジョージョの探索をスムーズに行うことができます。ジョージョを探しに行くとだけ親に言ったら断られるでしょう。自由研究のテーマにしたいのだと話せば、親も納得すると僕は考えました。


僕の考えは推測通り成功しました。気を付けてねとだけ言われました。


さて探索にはメンバーが必要です。


僕は探索チームのメンバーにいつも仲良くしている"たまねぎ"を選出しました。


"たまねぎ"は彼のあだ名です。たまねぎが好きなのでたまねぎです。たまねぎが好きな人をあまり聞かないので、その印象がとても強く、そのまま自然と学校でそのあだ名になりました。本人も悪くは思っていないようなので、僕もたまねぎと呼んでいます。ちなみに、給食にたまねぎが出たら、彼のところにたまねぎが集まってきます。僕の見解では彼はたまねぎという地位を確固たるものにしているようです。


早速そんなたまねぎにジョージョのことを話しました。

彼は「うーん、それはとても興味深いね」と言って、承諾してくれました。


ジョージョが宇宙からやってきたロボットであることはその後に話しました。

彼はちょっとだけ驚いていましたが、「なるほど」とうなずいていました。


「探索をするのならまずチームの名前を決めないといけないね」


とたまねぎが提案したので、僕らはジョージョの探索のために結成されたこのチームを「みらい」と名付けました。なんとなく人工衛星の名前っぽくてかっこいいのと、希望を感じることができて良いというのが決めた理由です。


昨日はたまねぎの部屋で○×町の地図を広げ、ジョージョの基本的な活動ルートを見直しました。


自由研究用のレポートにはすでに僕が確認したジョージョの行きそうな場所とその場所の詳細を書きました。その場所に行く目的と経路、時間など、探索に必要な情報はできる限りすべて書き留めました。


それだけで一日があっという間に過ぎてしまい、僕は家に帰る時間になってしまいました。


まだ夏休みは始まったばかりです。焦りは禁物です。


僕の名前は一樹と言います。


ジョージョ探索チーム「みらい」のメンバーの一人です。

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