平和的な兵器:地雷
地雷というのは無差別性・半永久性・非人道性ということでやり玉にあげられ禁止条約まであるようだが、そもそも地雷というのは兵器の中では随分物の道理がわかっている連中なのでそこまでされるいわれはない。端的に言えば、地雷に足が生えて、敵陣に突撃したりはしない。いや地雷をもって突撃する人がいたとかいう話は議論の精緻化のために脇に置かせてほしい。ここでは普通に地面に埋めて使う地雷について話す。
地雷のメリットを提示する。第一に、実質的な軍縮に寄与することである。例えばある国(A国としよう)がB国との国境線を守るために1000人の兵士が必要であると考えてほしい。A国からすれば、B国が攻めてきたときのための備えである。しかし、B国からすれば、1000人の兵士というのは侵攻にも転用できるから、怖くてしょうがない。そこでB国も負けじと兵士を増員する。B国が兵士を増員すればA国はより多くの兵士が必要と考え、増員する。こうして軍拡のスパイラルに陥る。
ではここで地雷を導入し、A国が国境線を100人で守ることができるようになったとしよう。B国からしてみれば、地雷というのは動かないわけだから、「侵略に転用できる戦力」は減少したことになる。そうなると、相手の兵士が減ったのだからB国は軍縮することができる。B国の兵士が減ればA国も兵士を減らせる。こうして軍縮の正のスパイラルを回すことが(理論上は)可能になる。少なくとも、疑心暗鬼により誘発される軍拡の悪循環は防げる。相手に対して優位に立とうとする軍拡は防げないが、そんなものは国連案件であって地雷に責任はない。
第二に、中小国の国防に寄与することである。地雷は安価である。大国が中小国を言いなりにさせることが残念ながら存在する国際社会において、安価に国家の独立を保つことができる。
さて、地雷製造会社のステマ(それってネットでやる意味あるのか?)と思われてもしゃくなので、地雷の問題点とされているところについても触れようと思う。まず先ほども提示した無差別性・半永久性・非人道性について述べる。
無差別性というのは「地雷は民間人も殺すから悪い!」ということである。だが考えてみてほしい、小銃だろうが爆撃だろうが民間人を殺せる。民間人が歩くような場所に地雷を埋めるから、地雷が民間人を殺すのである。そんなことを言い始めれば小銃だって民間人を射殺できるし、爆撃なら地雷など問題にならないレベルで虐殺できる。無差別性というのは兵器全てが兼ね備えた性質であって、地雷を糾弾する理由にはならない。
半永久性というのは「地雷は戦争が終わってもずっと残るからダメだ!」というものである。そんなもの、埋めた場所と個数を記録しておいて終わったら回収することを義務付けろ。そもそも兵器が「どこにいくつあるかわからない」などという状況は、地雷でなくとも致命的ではないか。小銃がどこにいったかわからない、戦車がどこにいったかわからない、ゲリラだの山賊だのに流れる、結局民間人を殺すではないか。
最後に非人道性。これは「地雷は相手の戦力をそぐために殺さずに体の一部だけを吹き飛ばすから非人道的だ」ということだが、普通に考えて、殺すほうが非人道的である。ほかの兵器で殺すのと地雷で障碍者にするのとで前者のほうが人道的なわけがあるかい。そういうわけでお話にならない。というか、「殺すより障碍者にするほうが非人道的」って、要するに「死ぬより障碍者になるほうが辛い」って言ってるのと変わらないわけで、それはヘイトに足突っ込んでると思います。
まあそういうわけで、地雷について悪魔の代弁者めいて語ってみたわけです。別に地雷がいいものだとは思ってませんよ。ほかの兵器に比べりゃマシってことです。
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