銀河系の置物
鬼場は星が好きな男で、最新の情報を用いて天の川銀河の模型を3Dプリンタを使い作りだしていた。その透明な一辺21CMの立方体の中には棒渦巻銀河が4つの尾を引き渦巻いているのである。その置物が時々であるが夜中に輝くのであった。それはカメラのフラッシュに似て一瞬の瞬きであるのだが、はて、この光は何が原因であるのであろうと思っていた。
これは共鳴が原因ではないかと思い至ったのは、友人の黒岩がギターの弦を調律しているのを見たからであった。黒岩は弦の共鳴を利用してギターの弦を調律していた。ギターの1番上の弦の5フレット目を抑えてそれを鳴らし、2番目の弦が同じ音に調律されていたなら、その2番目の弦が共鳴して震えるのだ。
要するに、鬼場が作った模型は銀河系と共鳴しているかもしれないのだ。
しかし、その共鳴を確認できるのは数万年後になることだろう。宇宙で起こる光のイベントが地球に届くのは光の速さでなのだから。
さて、銀河系がこの模型に共鳴しているとして、この模型から銀河系を飛び回ってる電波をキャッチ出来るのではないだろうかと鬼場は考えた。そこには異星人の発信する電波もあるだだろう。数万年後に地球に届くその電波でさえ、この模型を使えば先取りできるはずではないかと。
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