ウロ
ウロがいつも目の前にある
無色透明 形すら無いそのウロは
いつも何かをしゃべっている
ウロはいつも目の前にある
歪みに歪んだそのウロは
いつも誰かの顔に重なる
退けと小さく脅してみても
ウロは変わらずそこにある
故に誰の言葉も私に見えず
音だけポロポロ聞こえるばかり
ウロはいつも目の前にある
目を逸らしても目の前にある
じっとこちらを見つめるように
視界の真ん中 居座っている
故にウロの声が気になって
いつもいつも気がそぞろ
ウロがいつも目の前にある
誰かにそれを言ったところで
誰もそれを分かろうとしない
見えない事を理由にしては
カラカラいわれて立ち去られる
故に一人うろにつかれて
声を枯らして懇願する
ウロは今日も目の前にある
声が確かな言葉になって
ずっと私を追い回す
けれど気付いてみればウロは居らず
代わりに喉を風が抜けた
そうしてウロの正体を知り
恐怖に目を瞑ればそこにまたウロ
日々の中で 柳 空 @area13
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