対詩・本願

 死にたかった

 死にたくて 死んだ

 なのに僕は幽霊になった

 幽霊になって 生きている


 水に沈むと 息が苦しくて

 切った手足は 血が吹き出る

 煮えた湯につかれば 熱くて 痛くて


 何度も死んで

 そしてまた生きてしまう

 あぁ 神様 ごめんなさい

 命を粗末にしてごめんなさい

 あぁ 神様 生きるって素晴らしい

 死んだら苦しみから解放されるのは

 生きている人の特権だ

 死んでしまうともう死ねないから

 死に続けながら 生き続けてしまう


 痛い 苦しい もう嫌だ 死にたい 消えたい


 死にたい


 死にたい

 ―生まれ変わりたい


 僕は

 ―僕は


 死にたかっただけなんだ

 ―僕以外になりたかっただけなんだ

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