第4章 ミスコンと男らしさ?

第68話 文化祭間近

 文化祭が目前に迫って、様々な準備が大詰めを迎えていた。

 この日の午後は文化祭準備の時間となって、俺に関してはミスコンようの衣装最終決定をするということになっている。


「最終候補として上がってきた衣装は3つなんだけど、アキちゃんはどれがいいと思う?」


 今日、この空き教室というなの審査場にいるのは衣装作りを担当した女子2人と俺に、何故か智愛だ。


「俺に聞かないでくれ……男用はひとつとして残ってない時点で選べねえから……」


 目の前の机に並べられたの全部女子制服である。


「ちあっちはどれがいいと思う?」

「そもそもなんで私まで呼ばれてるのよ……」

「アキちゃんと付き合い長いし似合うというか勝てそうなのわかるんじゃないかなって」

「……ま、まあ、他の人よりはわかると思うけど」

「とりあえず着せてみよう。アキちゃんよろしく」


 もう反論する気も起きないので、指示に従うことにする。

 まずは候補1つ目はオーソドックスなファミレスウェイトレスっぽい衣装だ。ただ自作らしく、どこかの店みたいという感想は出てこないあたりすごい。


「秋がバイト経験ないとかいうのもあるからか、ポーズとか表情がちょっと不自然な気がするわね」


 智愛は真面目な顔で何を言っているんだろう。


「さすがちあっち、じゃあ次の候補はこちら!」


 次に着せられた衣裳はドレスだった。おそらく認識的には社交界の制服もとい礼服とでもいうべきだろうか。これが制服カテゴリで通用するかは俺の中では微妙なラインである。


「黒のドレスのせいで去年と変わり映えしなくないかしら? 去年の秋がゴスロリで優勝したからこそ……あと大人系より可愛い系強めのほうがいいと思うのよ」

「それはちょっと思ったのよね。あえていうならギャップ枠で入れたけど、やっぱりそう思うか。じゃあラスト! わたし的には本命!」


 最後に着せられたのは制服だ。ただ、現実では実は俺はみたことがないジャンパースカートにボレロというアニメではお嬢様校とかが題材のことが多い女子制服になる。


「無難な制服といいながら、現実ではみるようなみないような組み合わせ。ありじゃないかしら」

「じゃあ、これを最後にサイズ合わせたり小物調整したりって形でいこっか。ということでわたしら被服室行ってくるから、アキちゃんとちあっちは教室もどってて大丈夫よ!」


 そういって2人はそそくさと出ていってしまい、智愛とふたりきりにされてしまった。


「じゃ、じゃあ、私先戻ってるね」

「ん? おう……あっ、待った」

「な、なにかしら?」

「俺、なんかものすごいことしちゃってたりするかな? 最近、避けられてる気がしてるんだけど……自分で言うのもおかしいけど」


 ストレートにこの前からの態度について一度聞いてみる。ギクシャクし続けるとかごめんだからな。


「秋は何もしてないわ。これは、その私の問題というか」

「本当にか? 何かしてたら遠慮なく言ってくれていいんだぞ」

「秋は悪くないのよ!」

「そうか……なら、よかった。実は不安で不安で」

「……なんでそんなに私が避けてたとして不安になるのよ」

「いや、だって智愛に嫌われたりしたくないしさ。こんだけ長い付き合いになったし、普通にそう思っちゃってな」

「っ!? な、なにいってんのよ! 先、戻ってるから!」


 智愛はそう言うと勢いよく扉を閉めて教室へ戻っていってしまった。


「……今度こそ怒らせちゃったかな?」


 付き合いが長くてもやっぱり女心ってやつはわからない。いや、女心は関係ないのかもしれないけど、人の考えってよくわからない。

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