もしも一人っ子の俺に妹がいたら
タツノオトシゴ
プロローグ もしも家庭的にもぼっちな俺にきょうだいがいたら
兄弟、姉妹、兄妹、姉弟。これらは全て『きょうだい』と読む。これは世間一般常識だが、俺にとっては全然一般常識なんかじゃない。
なぜなら彼ら彼女らは仲のいいきょうだいなんか稀でほとんどのきょうだいは仲の悪い、むしろ他人のように接している。特に、性別の異なるきょうだいはすこぶる仲が悪いように思える。
俺はこの時はそう思っていた。そして、そのように思っている彼ら彼女らを恨ましく思っていた。
──心の支えがすぐ側にいるというのに、それをなんとも思ってないなど、人としてありえない。一人っ子の辛さもわからないで、きょうだいなんていらなかったわー。とか普通に言えるの?
俺はそれを酷く恨ましく思っていた。
俺は今まで幾度と無くいじめられてきた。そしてその度に親に心配をかけ、俺にとっては嬉しくないフォローをしてくる。俺からすればあんなのは機嫌取りに過ぎない。
理由は単純さ。俺は家族に嫌われているから。
言われなくてもわかる。一人息子の俺に対してあの冷たい態度。これは俺が自意識を持ち始めた頃からずっとだ。
とりあえず必要最低限のことだけしておく。これは親として有るまじきことだろう。
恐らく、俺の両親は女の子が欲しかったのだ。
反抗期になれば男は可愛げのないものになるのに対し、女は態度は悪くなるが、『自分の娘』という肩書きがあるため可愛く思えてしまう。俺だったら可愛く思うもん。
話がそれすぎたが、生まれ育った年代も環境も違う人間がお互いのことをわかりあうなんて不可能極まりない。
俺は言葉が欲しいんじゃない。信頼できる存在が欲しいのだ。たとえそれが俺に対して友好的でなくとも、いつも自分の側にいて、寄りかかりたい時に寄りかかれる。そんな存在が、俺は欲しいのだ。
──そう、俺はきょうだいがほしいのだ!
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